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国内基盤をより強固にしながら、海外でも戦える企業でありたい / インタビュー後編

株式会社ラックランド代表取締役社長望月圭一郎

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ラックランド 望月圭一郎 keiichiro_mochizuki_luckland

M&Aが企業体の在り方に大きな変革をもたらす

ラックランドは、近年M&A戦略を本格化させている。2013年にニイクラ電工、2014年に光電機産業を。2015年にマッハ機器、2016年にエースセンター、木戸設備工業を。そして、2017年には協和電設、静清装備、光立興業、大阪エアコン、オーエイテクノを次々に子会社化している。

当然ながら、経営陣がM&Aのメリットを評価しているからこそのアクションといえる。では、具体的にはどのような効果があると望月社長は見ているのであろうか。

「企業体が明らかに変わりました。個が強くなければ集団が強くなれるわけがありません。それぞれの会社が成長して専門企業として強くなってきています。そうした企業が仲間同士でシナジーを生むことで、1+1が3にもなっていく。そういう形になり、街のなかで何らかの動きがあれば、何でも関われる企業になったと思います」

もう一点、人材育成という面でも大きな効果があると望月社長は語る。
「時代が変わり、もはや対応力や便利というのではなく、プロを求めるようになっています。その時に若手社員に技術を教えてくれるプロがいなくてはいけないんです。そのためには、各分野でプロとしての力を持っている人たちに集団としてラックランドに入っていただき、若手の力を高めていくことが必要であるといえます。そうしたステージができつつあります」

大海を渡り行くためにも、引き続きM&A戦略を加速

現状、望月社長のもとには、M&Aコンサルファームをはじめ、金融機関、取引先などを通じて様々なM&A案件が寄せられている。どのような判断基準で、新たなグループ会社を目利きしているのか、望月社長に聞いてみた。

「何よりも、分野別にシナジーがあることが重要です。次には、その会社の文化を大事にしないといけません。そこがラックランドと合うのか、合わないのかにポイントを置いています」

ならば、どういう会社であればラックランドと合うのか。その点が気になる。

「真面目で技術力があって、人が良い会社です。実際、そんな仲間たちばかりですね。トップを見ると大体分かります。トップの考え、人柄、器に会社の文化が集約されますから」

もちろん、相手企業のトップも望月社長の信念、経営の原理原則、人となりを吟味するはずだ。交渉の場で何を伝えているのであろうか。

「基本的には信頼が大切だと思っています。でも、信頼に応えるには強くなくてはいけません。僕がいつも考えているのは、ただそれだけです。何故かといえば、自分の無力さを昔何度も感じたからです。もう二度とそんなことはしたくない。だから、自分が強くなるしかない。人を育てる、分野を育てるということもすべてそのため。私に課せられた責任として臨んでいるとお話ししています」

これからの世の中で生き残る形を目指していくためにも、望月社長は引き続きM&A戦略を継続していくという。

「ラックランドが東証一部に上がり、ある意味、これで初めて大海に漕ぎ出す力を得ることができました。ただ、もう少し分野を揃えなければいけないし、エリアの問題もあります。職人と呼ばれる人たちが日本全国をカバーできるわけではありません。同業種であっても、さらに仲間を増やしていきたいですね」

その一方で、望月社長には海外戦略の強化も図っていきたいという想いがある。『世界でも期待される企業』になることを目指しているのもそのためだ。

「やはり、10年位は掛かるでしょう。その期間、食料と燃料を送り続けられる収益力のある企業であり続けなくてはいけません。M&Aを含め、国内での基盤をより強固にしながら、海外でも戦っていける企業でありたいと思っています」

インタビュアー

ライター

袖山 俊夫