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パナソニック、パナホームの完全子会社化 スキーム変更しTOB実施へ 買付代金920億円を予定

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軽量鉄骨プレハブ主力の住宅メーカーのパナホーム【1924】は、総合家電大手のパナソニック【6752】を株式交換完全親会社とし、パナホームを株式交換完全子会社とする株式交換を合意解約し、パナソニックによるパナホームの普通株式に対する公開買付けに関して賛同の意見を表明すると発表した。
買付け等の価格は、普通株式1株につき、1,200円。
買付代金は、約920億円を予定(本公開買付けにおける買付予定数(76,985,108 株)に1株当たりの本公開買付価格(1,200 円)を乗じた金額)。

パナソニックによる今回のTOBは、本公開買付け及びその後の一連の手続によりパナホームがパナソニックの完全子会社とすることを企図していること、並びにパナホーム株式が上場廃止となる予定であることを前提としている。

パナソニックは、現在、東証1部に上場しているパナホーム株式91,036,634株(所有割合54.18%を所有しており、パナホームを連結子会社としている。
本公開買付けにおいて、買付予定数の上限及び下限は設定しておらず、本公開買付けに応募された株券等の全部の買付け等を行う。 また、本公開買付けにより、株式の全てを取得できなかった場合には、いわゆる二段階買収に関する各手続の実施を要請し、パナホームをパナソニックの完全子会社とすることを予定している。

パナソニックは、1918年の創業以来、総合エレクトロニクスメーカーとしてグローバルに事業を展開、近年では家電に加え、車載や住宅、B2Bの領域で事業活動を行っている。

パナホームは、パナソニックグループの住宅事業を担う中核企業。近年では、「新築請負事業」、「街づくり事業」、「ストック事業」、「海外事業」の4つの事業分野を経営の軸に据え、パナソニックグループ各社とのパートナーシップ強化により、成長戦略を推進、また、直近では、パナソニックグループの住宅事業戦略における「リフォーム事業」、「新築・街づくり事業」、「エイジフリー(高齢者・介護サービス等)事業」、「住宅エネルギーマネジメント事業」、「海外事業」を重点領域とした両社による取組みの1つとして、パナソニックがパナホームの子会社であるパナホームリフォームによる増資(パナソニックによる払込金額192億円)を引き受けるとともに、社名をパナソニックリフォームへ変更した。これにより、両社は、今後、市場拡大が見込まれるリフォーム事業におけるブランド「Panasonic リフォーム」に一本化し、パナソニックグループ全体でリフォーム事業における顧客接点を強化、より快適な住空間の提供をめざし、設計提案力や施工サー ビス体制などのさらなる強化に取り組んできている。このような施策をはじめ、パナソニックとパナホームは、グループ企業として経営戦略を共有し、事業を展開している。

一方で、パナホームを取り巻く事業環境は、加速度的に変化しつつあると認識しており、国内住宅市場においては、人口動態から新設住宅着工戸数の逓減が想定されており、市場での競争が激化するなかで、街づくり事業やリフォーム事業、海外事業などへのビジネスモデルの変革、多角化が急務となっている。

このような背景のもと、パナソニックは、パナソニックグループとしての住宅事業 を、住宅事業を営む他の企業の平均的な成長率を上回って成長させていくためには、両社の経営資源を共有・活用しながら、顧客ニーズに迅速かつ的確に応えることが効果的であり、これによって住宅市場におけるパナソニックグループの価値が一段と高まるものと考えるに至り、2016年からパナホームを完全子会社化するための手法を検討してきており、その結果、パナホームの株主に対して現金を対価として交付するスキームでは、パナホームがパナソニックの連結納税に加入する際の課税繰り延べ措置の適用が受けられないこと等も考慮し、株式を対価とするスキームで完全子会社化を行うべく、パナホームに対して、本株式交換の申入れを行うに至った。

パナホームとしては、上記のような加速度的に変化しつつある事業環境下において、国内におけるシェア向上のみならず、海外市場におけるさらなる事業展開、また、そのために必要な人材不足の解消、販売管理費等のさらなる低減等が経営上の重要な課題となっており、これらを解決し、住宅事業の競争優位性を高め成長させていくためには、両社がこれまで以上に連携を深め、グループとしてシナジーを実現することが必要不可欠であるとの認識に至った。

具体的なシナジー効果としては、統一的なパナソニックブランド戦略に基づき、家電・設備と住宅建築技術の融合による住空間創出、スマートハウスにおけるIoTの技術開発等の強化が期待できるとともに、パナソニックが保有する海外ネットワークやグローバル人材とパナホームの設計・建築ノウハウを組み合わせることがASEAN地域を中心とした海外事業展開の加速にも繋がることなどが期待できる。

また、経営資源の共通化による間接部門のコストダウン・効率化、パナソニックグ ループ企業としての新卒採用強化及び専門分野における人材補強、公開買付者の国内外販売ルートを活かした大型案件紹介の拡大等の両社の連携についても、その加速が期待でき、グループシナジー効果を早期に最大化できると考えている。

こうした認識のもと検討を進めた結果、パナソニックがパナホームを完全子会社化することがパナソニックグループ全体の企業価値の向上のために非常に有益であるとの考えで両社の見解が一致したことから株式交換を実施することに決定した。

しかしながら、現金を対価として株主に交付する完全子会社化のスキームでも連結納税に加入する際の課税繰り延べ措置の適用を受けることを可能とする法人税法の改正を含む2017年度税制改正が2016年12月20日プレスリリース公表後の22日に閣議決定され、その後、2017年2月3日に所得税法等の一部を改正する等の法律案が国会に提出される等、現金を対価とするスキームでも課税繰り延べ措置の適用を受けることが可能となる確度が相当程度高まったことを受け、パナソニックとしては、現金を対価として交付するスキームでも課税繰り延べの措置の適用が受けられるのであれば、本株式交換よりもTOBによるスキームの方が、パナソニックの資本構成を維持することにより株主資本コストの削減や株主資本利益率の向上といった財務上のメリットを享受できパナソニックグループの財務戦略上より望ましく、パナソニックの株式の希薄化を防止することによりパナソニックの普通株式の1株当たりの純利益の増加を見込むことができパナソニックの株主の利益にも資すると考えるに至り、パナソニックは、パナホームに対して、株式交換からTOBへのスキームの変更を提案し、今回のTOBの実施に至った。