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ジャパンディスプレイ、JOLEDの子会社化で同意 印刷方式によるOLEDディスプレイの事業化加速
中小型液晶ディスプレイの製造・販売を行うジャパンディスプレイ(以下「JD」)【6740】は、有機 EL ディスプレイパネルメーカーのJOLEDの発行済株式の一部を、官民出資の投資ファンドである産業革新機構(以下「INCJ」)から取得してJOLEDにおけるJDの議決権比率を51%に引き上げ、JOLEDを連結子会社化することに関して、INCJ及びJOLEDとの間で基本合意書を締結したと発表した。
JDは、中小型ディスプレイデバイス及び関連製品の開発、設計、製造及び販売を主な事業内容とし、技術力と生産能力の双方を備えた中小型ディスプレイのグローバルリーディングカンパニーとしての地位の確立を目指している。
しかし、中小型ディスプレイ業界では、特にJDグループの主力分野であるスマートフォン向け製品市場において、韓国メーカーによる有機EL(以下「OLED」)ディスプレイの攻勢に加えて、中国、台湾メーカーの技術力向上及び第6世代のLTPS(低温ポリシリコン)工場の立ち上がりにより、競争環境が激化している。また、同製品市場では季節性の需要変動が大きく、四半期毎の収益のボラティリティが大変高くなっている。
現在、JDグループでは、スマートフォン向け製品を中心とするモバイル分野の売上高が全体の約8割を占めており、収益確保に影響を与えている。こうした状況を改善し、企業価値の継続的向上を図るため、JDグループは、モバイル以外のアプリケーション(ノンモバイル)比率を高め、安定的な経営基盤を構築するとともに、技術革新による競争力の更なる強化を目指している。
JDが現在15%の議決権を保有するJOLEDでは、蒸着方式による高精細小型OLEDディスプレイとの差別化が可能な印刷方式を採用した中精細OLEDディスプレイの開発に取り組んでいる。印刷方式は、OLEDの他の生産方式と比較して生産コストの大幅低減が可能と考えられており、これまで多くの企業が開発を行ってきたが、現在のところ印刷方式によるOLEDの量産を行っている企業はない。
このような状況の中、JDは、JOLEDが印刷方式に関して最先端の技術開発を行っていることから、印刷方式によるOLEDディスプレイの早期事業化が可能な企業であると判断。JOLEDの子会社化により、印刷方式による OLEDディスプレイの事業化をより加速させることを目指すもの。