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富士フィルムHD、米国ゼロックス社を買収
写真フィルムから液晶フィルム、医療機器、医薬等へ転換、傘下に事務機器大手富士ゼロックスを有する富士フイルムホールディングス【4901】は、ゼロックスコーポレーション(米国)との間で、富士フイルムホールディングスがゼロックス株式の過半となる50.1%を取得すること、および富士フイルムホールディングス子会社である富士ゼロックスとゼロックスが経営統合することに合意したと発表した。
富士ゼロックスは1962年創立の、富士フイルムホールディングスが75%、ゼロックスが25%を出資する、ドキュメントソリューションカンパニー。富士フイルムホールディングスとゼロックスは、56年間に亘るジョイントベンチャーを通じたパートナーシップの下、技術を含めた多角的な相互協力を深め、堅い信頼関係を築いてきた。富士ゼロックスはクロスボーダーのジョイントベンチャーとしては稀有な成功例としても知られている。今回の経営統合は、それぞれが企業価値を高めるためにさまざまな選択肢を検討する中で辿り着いた最良の結論であり、数多くの統合シナジーが期待できる。富士ゼロックスは日本およびアジア・パシフィック、ゼロックスは欧米を中心に事業を展開している。両社は、ゼログラフィー技術でオフィスに変革を起こし、さまざまな製品・サービスを通じて顧客のコミュニケーション活動や価値創造を支援し、経営や業務課題を解決するソリューションを提供してきた。
今回、富士ゼロックスがゼロックスの完全子会社となることで両社は経営統合し、その後、ゼロックスは、社名を「富士ゼロックス(英語名:Fuji Xerox、以下「新富士ゼロックス」)」に変更。富士フイルムホールディングスは、新富士ゼロックス株式の50.1%を保有し、同社はNYSEの上場を維持する。また、富士ゼロックスおよびゼロックスのブランドについては引き続き両方を使用する予定。
新富士ゼロックスは売上で世界最大規模のドキュメントソリューションカンパニーとなり、ワールドワイドで一貫した経営戦略に基づくオペレーションを展開することで、事業成長のさらなる加速と顧客への新たな価値提供を実現する。新富士ゼロックスは、規模のみならず、価値の高いブランド、それを支える最先端技術と優秀な人材、グローバルなマーケティング力と優良な顧客基盤などの経営リソースを有することとなる。
これらに加え富士フイルムホールディングスの幅広い技術、新規事業創出の経験・ノウハウなどを活用することで、業界トップのオフィスドキュメント事業のみならず、インクジェットを中心とした商業印刷やさまざまなインダストリアルプリンティング、業務プロセス・生産性を向上するソリューション・サービス分野で幅広くビジネスを展開するリーディングカンパニーとして、企業変革を加速させていく。
今回の統合によるコスト改善効果は、2022年度までに約1,700百万米ドル/年を見込んでおり、その内、約1,200百万米ドルを2020年度までに実現する。コスト改善の一環として、富士ゼロックスは収益・生産性改善のため抜本的な構造改革を実施し、強靭な企業体質への変革を果たる。
【新富士ゼロックスの戦略の方向性】
・全世界統一のマーケティング戦略に基づき、オフィス市場において、競合を凌駕する製品・サービスを提供し、各地域でのシェアアップ、グローバルアカウントの獲得をより一層加速。
・R&D、生産、調達、物流などすべてのバリューチェーンを最適化することにより、新製品のタイムリーな市場投入とコスト競争力の向上を実現。
・富士フイルムホールディングスが得意とする画像処理技術と新富士ゼロックスが持つドキュメント関連のAI技術の融合により、業界や顧客ごとに異なる業務プロセスを自動化し、生産性のさらなる向上を実現するソリューション・サービスを提供。
・富士フイルムホールディングスが保有する写真、インクジェット、フォトリソグラフィ(*1)、オプティカルなどの先進技術と新富士ゼロックスが持つドキュメント分野の技術の融合という競合他社にはない組み合わせにより、革新的な製品開発を実現し、市場領域を拡大。
*1 写真現像技術を応用して微細なパターンを作成する技術。例えば半導体の製造工程などで用いられている。