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ベンチャー企業のゴールは上場やIPOだけではない / インタビュー後編

早稲田M&Aパートナーズ株式会社代表取締役CEO和家智也

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日本でベンチャー企業のM&Aを当たり前にしたい

早稲田M&Aパートナーズが何を目指しているのか。和家氏は、企業としてのビジョンをこう語る。

「日本でベンチャー企業のM&Aを当たり前にしたいです。米国の多くのベンチャー起業家は、若くして会社を立ち上げ、しっかり将来を見据えた上でM&Aの専門家と相談し、ベストタイミングで会社を売却しています。そこで得た資金をベースに、次の会社をスタートアップするシリアル・アントレプレナー(連続起業家)がどんどん誕生しています。日本でも『ビジネスチャンスを見つけて事業を立ち上げる0から1は得意だが、1を10に組織的に成長させるのは自分に向いていない』という社長がかなりの割合でいることに気づきました。起業が得意な社長は起業家に、経営が得意な社長は経営者に専念する方が、本人にとっても会社にとってもプラスになると思うのです。かといって起業家が社長を辞めて会社を誰かに任せ、次の一歩へ進むということが日本では浸透していないのが実情です。そこで、私たち早稲田M&Aパートナーズは『エグジット(会社売却)』という選択肢もあることを社長に提案し、夢のあるベンチャーライフを一緒に考えましょうと言える会社、人生を思いっきり楽しめる人間味の溢れるパートナー集団になりたいと思っています」

既に、和家氏はゼスタスでのビジネスを通じて、エグジットを経験したシリアル・アントレプレナーとの親交を深めつつある。家具のネットショップ通販会社を経営したNさんもその一人だ。

「通販会社を立ち上げて3年が経過し、まだまだ成長途中だったのですが、ベンチャー企業でできることに限界を感じ始めたようでした。Nさんと私とで、会社の現状と社長の将来ビジョンをじっくり話し合い、結果として、事業をしっかり承継して育ててくれるネット系事業会社への売却を決意されました。譲渡後、Nさんは世界各地を周りながら新規事業を探す旅を続け、現在はアフリカで貿易業を行う新会社を設立。まさに、シリアル・アントレプレナーとして活躍中です」

ベンチャー起業家のパートナーとして次の道を示す

スタートアップから間もないこともあって、早稲田M&Aパートナーズとしての実績はまだこれからだ。だが、最近ゼスタスで新会社のモデルケースとなるようなM&A案件を手掛けることができ、和家氏は確かな手応えを感じている。

「東証マザーズ上場会社が、ポータルサイトを運営するベンチャー企業を買収しました。『現状のままでも事業を成長させることはできるが、後発競合サイトとの競争は避けられず、近い将来体力勝負になることは見えている。もしも上場会社が、うちのようなベンチャーに興味をもってくれるのであれば、グループの一員となり事業を委ねる方が会社のためかもしれない』というのが売却理由でした。スピード感が求められるベンチャー経営において、社長は『攻め』も『守り』も同時に考えなくてはならない深い悩みを抱えていました。そのような悩みを私たちにどんどん投げかけて欲しいのです」

そのためにも、和家氏は一つ一つの出会いを大切にし、どんなベンチャー起業家にもエグジットのチャンスがあることを呼び掛けていきたいと考えている。

「ベンチャー企業のゴールは上場やIPO(新規公開株)だけではありません。単独で突き抜けていく企業も見てきましたし、業務提携や資本提携をうまく活用して飛躍することができた企業もあります。決して、売却ありきでの話は持ち掛けません。今が売却のタイミングではない場合は『1年間必死に営業を強化して売り上げを伸ばし、来期に考えましょう』『銀行融資、エンジェルやベンチャーキャピタルから資金調達をしましょう。事業計画書のポイントを教えます』とアドバイスすることも多々あります。私たちと話をしていく中で、ベンチャー起業家にとっての次の道が必ず見えてくると思っています」と和家氏はインタビューを締め括った。

インタビュアー

ライター

袖山 俊夫

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