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富士フイルム、再生医療ベンチャーのNCメディカルリサーチ社へ出資

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写真フィルム製造の富士フイルムは、急性期(*1)脳梗塞を適応症とする再生医療製品の実用化を目指す再生医療ベンチャーNCメディカルリサーチの第三者割当増資を引き受け、同社に430百万円を出資したと発表した。

これにより、同社の全株式の約6%を保有する。また、今回の出資にあたり、本年8月末に同社と再生医療製品の開発・製造受託に関する業務提携契約も締結している。

今回の資本・業務提携により、NCメディカル社より、同社が開発中の再生医療製品「NCS-01」(適応症:急性期脳梗塞)に使用される間葉系幹細胞(*2)の大量培養のプロセス開発から細胞培養、製剤化までを受託し、再生医療製品の開発・製造受託事業を拡大させ、さらに、間葉系幹細胞の治療への応用展開に関する知見やノウハウも取得していく。

脳梗塞は、脳血管が詰まり血流が止まることで、脳組織が壊死または損傷する疾患で、日本での新規患者数は年間約30万人といわれている。現在、急性期脳梗塞の治療は、脳血管の詰まりを取り除く血栓溶解療法が主流だが、発症後4、5時間以内に薬剤を投与できない場合、発症者が死に至る、あるいは重大な後遺症が残るというケースが多くある。
NCメディカル社は、他家(*3)骨髄由来の間葉系幹細胞を用いた、急性期脳梗塞を適応症とする再生医療製品の研究開発を進めており、すでに採取した間葉系幹細胞の中から、脳梗塞によって損傷した脳神経細胞の再生に有用な細胞を独自の培養方法で選別する技術を確立している。今後、本技術を活用して、2018年以降、日米で臨床試験を開始する予定。

富士フイルムは、日本初の再生医療製品を開発・上市した、グループ会社のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(以下、J-TEC)を中核に、再生医療製品の開発・製造受託事業を展開している。現在、J-TECでは、これまで培ってきた細胞培養や品質管理などに関するノウハウを活かして、再生医療製品の開発、薬事コンサルティングなどの受託サービスを幅広く提供している。

今後、富士フイルムは、NCメディカル社が開発中の再生医療製品「NCS-01」の開発・製造受託ビジネスを加え、さらなる事業拡大を図っていく。
富士フイルムは、長年の写真フィルムの研究で培ってきた高機能素材技術やエンジニアリング技術と、J-TECの治療用細胞の生産技術、米国Cellular Dynamics International, Inc.(セルラー・ダイナミクス・インターナショナル)の世界トップのiPS細胞関連技術・ノウハウを融合し、自社再生医療製品の研究開発を加速させるとともに、再生医療製品の開発・製造受託事業を拡大することで、再生医療の産業化に貢献していく。

*1 脳梗塞の発症から数週間以内の期間は「急性期」、一定期間以降は「慢性期」と区分されており、それぞれ有効な治療方法が異なる。
*2 間葉系幹細胞とは、生体内に存在し、一定の分化能/増殖能を持つ幹細胞。脳梗塞のほか、軟骨損傷、虚血性心不全、下肢虚血など、さまざまな疾患の治療に1000例を超える臨床研究が行われている。多様な効果が期待されていると同時に、高い安全性が実証されている。
*3 患者本人以外の骨髄から採取するもので、事前に細胞治療製剤を作製しておくことができるため、治療に用いる際に高い利便性がある。

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