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東海カーボン、黒鉛電極メーカー米国事業を約129億円で買収

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炭素製品大手の東海カーボン【5301】は、黒鉛電極メーカーであるSGL GE Holding GmbH (以下,SGL GE)から、その米国事業を担うSGL GE Carbon Holding LLCの全株式を取得し子会化すると発表した。
取得価格は、約129億円。

東海カーボンは、平成28年2月に公表した3ヵ年中期経営計画「T-2018」の Phase1において構造改革に取り組んだ結果、事業再構築をほぼ計画通り成し遂げ、平成29年2月に新たに公表したPhase2に則り、成長戦略に軸足を移した取り組みを進めている。また戦略投資枠として約500億円をM&A等向けに設定しており、既存事業の収益性改善、事業領域拡大を基盤としながら、さらなる企業価値向上を目指している。

東海カーボンの主要事業の一つである黒鉛電極事業は、100年に近い歴史を持ち、日本およびドイツに生産拠点を有し、グローバルに事業を展開してきた。電極の需給ギャップが鮮明になった平成27年には「炭素セラミックスセグメントの合理化」の一環として国内電極2工場の能力4割を削減し、ファインカーボン及びリチウムイオン電池負極材の生産能力拡大にその設備能力を振り向けた。こうした施策を通じた稼働率の向上およびコスト削減等により競争力は高まったものの、電極生産能力の観点からは、東海カーボンのプレゼンスがグローバルプレーヤーに比して低下しており、また、世界最大の電炉鋼生産量を誇り、黒鉛電極メーカーにとっての重要な北米市場に対しては、東海カーボンは販売子会社を通じて製品を供給しているものの、生産・販売体 制の確立による本格的な市場参入が長年の課題であった。

かかる状況下、本件による北米生産拠点の取得を通じて、世界最大の電炉鋼市場である北米における東海カーボン自身のプレゼンス向上はもとより、アジア・欧州・北米の“3極体制”を築くことで、グローバルプレーヤーの一角として強固な事業基盤の構築を目指し、また、日本における生産の一部を北米に移管することで、グローバル生産体制の最適化およびコスト競争力の強化につながり、さらに中長期的にはリチウムイオン電池負極材の生産能力確保も可能であると考え、今回の買収に至った。