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アルプス電気と傘下のアルパイン、持株会社体制への移行を伴う経営統合実施

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電子部品大手のアルプス電気【6770】及びアルプス電気傘下の車載機器専業メーカーのアルパイン【6816】は、持株会社体制への移行を伴う経営統合を行うと発表した。

アルプス電気は、昭和23年に「片岡電気株式会社」として創業。それから現在まで69年間、一貫して「部品に徹する」を基本姿勢に、独自のものづくりを真摯に進めてきた。ものづくりによって「人と地球に喜ばれる新たな価値を創造する。」を企業理念とし、株主・取引先・地域社会・ 国際社会・従業員をはじめとした様々なステークホルダーに対して社会的な責任を遂行し、企業価値を最大化することを経営の基本方針としており、アルプス電気は、入力デバイス、センシングデバイス及びデータ通信モジュール等の開発・製造・販売を行っているが、近年、各種のデジタル機器が進化を続けるなかで、アルプス電気の事業分野もこれまでの家電機器を中心とした民生機器から大きくシフトし、電装化が進むクルマ、スマートフォンに代表されるモバイル機器、更には省エネルギーやヘルスケア等へと変化を遂げ、その規模もグローバルへと拡大している。中でも、クルマは運転支援機能等の技術革新 が進み、また、スマートフォンは機能やアプリケーションの拡充が進むと共に世界で普及期に入ったことにより、アルプス電気は、平成26年度には車載事業での売上高2000億円及びスマートフォン向け事業での売上高1000億円を達成。さらに、平成27年度は連結業績において売上高・親会社株主に帰属する当期純利益で過去最高を記録すると共に、電子部品事業でも売上高・営業利益で新記録を達成した。他方で、アルプス電気においては、事業規模が急激に拡大したことにより、経営リソースの逼迫化が進んでおり、また、高成長が続いたスマートフォン市場は、市場の成熟化に伴う成長の鈍化やコモディティー化のリスクによって、先行きの不透明感が増している。加えて、IoT(Internet of Things)の潮流の中、ハードウェア単独製品では、付加価値の確保が容易ではなくなってきており、このような事業環境の下、アルプス電気の持続的な成長のためには、スマートフォン向け事業の成長維持及び市場の成熟化に伴う成長の鈍化やコモディティー化に備えたリスクマネジメントに取り組むと共に、スマートフォン向け事業に代わる事業を確立・拡大することで、車載事業、スマートフォン向け事業及びその他の事業につき、バランスの取れた成長を実現することが求められている。そのため、アルプス電気においては、既存のコア技術に加え、ソフトウェアを内包した機能モジュールの開発による高付加価値化の実現により、①自動運転、コネクティッド、EV、シェアリング等の新たなトレンドを伴う技術革新及び競争激化が生じている車載市場において、事業の更なる拡大及びハードウェアとソフトウェアの双方を通じた提案力強化による収益力向上を図ること、②EHII(Energy、Healthcare、Industry、IoT)等の市場における新事業の確立によって収益の安定化と拡大を図ることが重要な課題となっている。

他方、アルパインは昭和42年にアルプス電気と米国モトローラ社との合弁会社として発足し、カーオーディオを中心に事業拡大を進めてきた。業界においては後発ではあったが、差別化戦略のもと独自性ある商品を開発し、新たな顧客価値を積極的に提案することにより、プレミアムブランドとしてのアルパインブランドを確立し、市場でのポジションを着実に高めてきた。その後、時代の変化を的確に捉え、業界内でもいち早く海外における生産販売ネットワークを確立することで海外の優良顧客を開拓し、自動車メーカー向けのOEMビジネス拡大とカーナビゲーション、車載ディスプレイ製品の売上拡大を軸に成長を実現してきた。しかしながら結果として、自動車メーカー向け、海外向けのビジネス偏重による事業上のリスクも顕在化しており、また、近年では、クルマの情報端末化やADAS(先進運転支援システム)・自動運転等の技術の高度化が急速に進展する一方、スマートフォンのサービスが拡大したことにより、車載インフォテイメント市場は、ADAS等に対応した高機能システム製品とスマートフォンに連携したコモディティー製品に二極化してきており、その結果、入力デバイス、センシングデバイス等を活用した安全機能との連携やデータ通信モジュールを活用したコネクティッド化へと市場・顧客の要求は変化してきており、アルパインを取り巻く事業環境は、従来のハードウェア主体の事業からクルマを核とした総合サービス事業へと大きく変革していくものと考えている。これらの変化に適応し、アルパインが持続的に成長を続けるためには、既存事業領域においては、ブランドビジネスや音響製品の強みの維持活用、開発資産を活用した新規顧客の開拓及び事業活動の効率化による収益性改善が課題と捉えており、新事業領域においては、センシングデバイス及び通信デバイス等のコアデバイスとソフトウェアの融合化を進め、HMI(ヒューマン・マシーン・インターフェース)をコアとした独自性・付加価値のある製品を創出し、市場や顧客への提案力を強化することによりコックピット周辺・コネクティッド関連等の事業拡大を図ることが重要な課題となっている。 上記に加えて、近年のクルマの電装化進展のなかで、車載事業における両社の事業領域が近接し、両社の協業を進める必要性も高まっている。そのため、両社が独立した上場企業であることから生ずる、開発・製造・販売面での相互協力や知的財産権・ライセンス・ノウハウ等の共有における事業運営上の制約を解消すると共に、顧客とのより効果的なコミュニケーションを実現することが喫緊の課題となっている。

両社は、これらの経営課題に対処するためには、両社が保有する人材及び技術といった経営資源を相互に活用することに加えて、両社が迅速かつ機動的な意思決定に基づき夫々の事業を成長させることにより、アルプスグループ全体として、より効率的かつ機動的な経営を行うことが必要不可欠であると考えており、その方策として、両社は、持株会社体制へ移行することで、グループ戦略機能を持つ持株会社のもと、顧客に対するグループとしての提案・営業機能の強化、エンジニア・営業等の事業横断的な人材交流による従業員の育成、アルプス電気の有する資金調達力やネットワーク、ものづくり力の活用等の本格的な協業に取り組んでいく。その結果として、生産拠点の相互活用の推進、共通インフラ活用による間接部門の効率化、部材の共同調達によるサプライヤーとの連携や調達力の強化及びグローバルオペレーションの強化等と相まって、アルプスグループ全体の事業上のシナジー効果を最大化できると考えており、今回の経営統合に至った。