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三井物産、サーモンの陸上養殖ベンチャーを9億円で買収

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三井物産【8031】は、水産物の閉鎖循環式陸上養殖システムを開発したベンチャー企業であるFRDジャパン(以下「FRD」)が実施する第三者割当増資を引き受けると発表した。三井物産は9億円を出資し、FRD社株式の80%を取得する。

世界的な人口増加や生活水準の向上を背景に、良質の動物性タンパク源である水産物の需要は年々増加しており、再生産可能な養殖水産物に対するニーズはますます高まっている。一方で、海面での養殖の適地が限られている中で、今後も伸長する水産物需要を支えるためには陸上養殖の産業化が必要と判断、三井物産はFRDへの出資参画を決定した。

FRDの陸上養殖システムはバクテリアを利用した高度濾過技術により、天然海水や地下水を使用せず、人工海水を閉鎖循環させながら水質を維持することが可能。これにより、従来の陸上養殖で高コストの要因となっていた取水時の水温調節費用や、魚病の侵入リスクを大幅に減少させることができる上、場所を選ばす内陸でも養殖を行えるようになる。

三井物産はFRDを通じて、まず日本国内にサーモントラウトの大規模陸上養殖場を建設することを目指す。Phase1で2018年からパイロットプラントの操業を開始し、その結果を踏まえて2020年にはPhase2としてサーモントラウトを年間1,500トン生産する商業プラントに拡張する追加投資を行うことを目標にしている。

サーモン類は海水温が高いアジアでは夏季の海面養殖が難しく、養殖サーモンの大半がノルウェーやチリ等の寒冷地から輸入されている。陸上養殖では水温コントロールにより、アジア地域でもサーモン養殖が通年行えるようになり、消費地近郊にプラントを立地させることで、高鮮度な商品を低い輸送コストで流通させることが可能になる。三井物産は持続可能な水産物生産手段の確立と、今後も美味しい魚が手軽に食べられる世界の実現を目指し、陸上養殖の産業化に取り組んでいく。

なお、本件は社内オープンイノベーションを目的として2014年8月より導入した新事業創出プログラム「Karugamo Works」での活動を通じて創出された案件。Karugamo Worksでは業務時間の20%を従来の担当業務以外に使い、イノベーション推進案件制度(※)を活用した新事業創出に取り組んでいる。
※イノベーション推進案件制度:社内で設定している投資基準、撤退基準を一部適用除外とし、長期的視点から大きな収益貢献が期待出来る、新たな事業領域への参画を支援する制度。