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興和、名古屋の百貨店「丸栄」にTOB実施 完全子会社し抜本的構造改革へ

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名古屋の百貨店「4M」の一角である丸栄【8245】は、キャベジンなどの医薬品で有名な支配株主(親会社)である興和による丸栄の普通株式に対する公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、丸栄の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議し発表した。

なお、当該決議は、公開買付者が本公開買付け及びその後の一連の手続に丸栄を完全子会社とすること(現在は69.31%の株式を保有)を企図していること、並びに丸栄株式が上場廃止となる予定であることを前提としている。

買付け等の価格は、普通株式1株につき、金128円。

丸栄グループは、Eコマースの普及や少子高齢化など厳しい事業環境下において、業績の改善や財務体質の強化を推し進めるために、2004年より、人件費削減によるローコストオペレーション化を念頭においた早期退職特別優遇支援措置、人員削減に対応する売場の再編成、及び継続的な売場体制の整備と販促イベントの充実をはじめとする営業諸施策を実施するとともに、2010年には、経営資源の選択と集中を図るために連結子会社であった豊橋丸栄の株式譲渡や賃借していた別館からの撤退等の事業構造改革を実施してきた。また、丸栄は、これらの構造改革を迅速かつ効果的に実現するための安定的な資金を確保するために、2008年(出資額:35.61億円、出資後の所有割合:28.66%)及び2010年(出資額:34.5億円、出資後の所有割合:53.36%)に、興和による出資を経て、公開買付者の連結子会社となり、また、その後も興和からの融資も受けてきた。さらに、丸栄は、2011年(出資額:35億円、出資後の所有割合:69.01%)には、興和による貸付金債権の現物出資(デット・エクイティ・スワップ)を実施しており、これらの合計3回の増資(総額 105.11 億円)を通して、興和グループとの連携を図りながら企業価値の向上に向けて取り組んできた。

しかしながら、上記のような諸施策によっても丸栄の事業構造改革は十分な成果
を上げることはできず、1993年2月期から25期連続の減収の状態であり、2015年2月期以降3期連続での経常損失を計上するに至っている。加えて、丸栄グループの主たる事業分野である百貨店業界を取り巻く事業環境は、ここ数年の収益を下支えしていた訪日外国人の国内消費(いわゆるインバウンド需要)の頭打ち感に加えて、主力である衣料品の不振の継続など、今後もより一層厳しい状況が続くものと予想される。

このような状況下、今後も厳しい経営状況が継続する見込みであることから、丸栄株式の69.31%を所有している興和としては、さらに踏み込んだ抜本的な事業構造改革を実行することが急務であるとの認識に至った。両社は、興和が丸栄を完全子会社化することによって、百貨店事業について、自社の社員を用いて丸栄自ら運営・販売する店舗を中心に構成する自社運営型の百貨店事業から、集客力ある外部テナントがその社員を用いて運営・販売する店舗を中心に構成するテナント型の百貨店事業への転換を加速することが必要との両社の共通認識の下、今回の公開買い付けによる完全子会社を実施するに至った。