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金融機関再編に強い社楽パートナーズ / インタビュー後編

株式会社 社楽パートナーズ代表取締役社長北 義昭

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社楽パートナーズは、企業再生事業では、資本不足に陥っていたCSKホールディングスのファイナンシャルアドバイザーとして、不動産事業からの撤退、住友商事グループファンドによる資本増強、デッド・エクイティ・スワップによる取引銀行からの支援受入交渉などを白紙の段階から実行サポートまでアドバイスした。
M&Aの仲介業は行わず、経営課題解決のソリューション手段として、M&Aが最適と判断すればアドバイザーとして案件に着手するという方針だ。USENのファイナンシャルアドバイザーとしてインテリジェンスの売却、不採算事業の撤退、銀行団へのリスケ交渉を取りまとめたほか、ソニー銀行によるスマートリンク買収などでもファイナンシャルアドバイザーを務めた。
金融機関再編に強いのは、社楽パートナーズの大きな特徴である。北氏は語る。
「金融機関の再生やM&Aを担当するには、銀行法や金融商品取引法など関連法規に精通したうえに、金融庁との折衝にも関わるので、金融庁の考え方や判断基準も把握していなければならない。また事業会社のM&Aにはない金融機関の特殊性や、公共性を踏まえた対応経験がないと実際には対応できない。こうした背景から、金融機関から当社に指名がかかった」。
たとえば、自己資本比率が低下していた中央商銀信用組合とあすなろ信用組合の再生では、両信組を合併させ整理回収機構などから250億円規模の増資を実施して、横浜中央信用組合を発足させた。イオン銀行が破綻した旧日本振興銀行のグッドバンクを子会社化した案件では、管理・回収体制の再構築や合併計画の策定、営業・管理・拠点体制の刷新に携わった。

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これらの業務にあって、冒頭で紹介したように社楽パートナーズは戦略構築からフォローアップまで担うが、気になるのは対象企業の経営幹部の強化策である。提供したスキームが成果を出すには、経営幹部の刷新が必要なケースもあるが、一般に社外から経営サポートに入る場合、役員人事に踏み込むことは、過剰な行為として忌避されがちである。
たとえ経営再建のネックとなる役員の存在が明確になっても、なかなか経営陣の刷新を提言するのは難しいものだが、この難題に、社楽パートナーズはスポンサー企業の導入でうまく解決した実績もある。スポンサー企業から派遣される役員と問題の役員を入れ替えて、刷新を図ったのだ。
取り扱い案件数は年間に約20件。すべてが金融機関や弁護士事務所、監査法人、過去の支援先などから持ち込まれるのかといえば、そうではないという。半数をダイレクトのアポイントメントによる提案で獲得している。たとえば新聞で経営課題が報道された企業の有価証券報告書などを精査し、分析・スクリーニングをかけたうえで、電話で財務担当役員などに面会を申し入れ、その後社長との面会に移行する。
同社の実績からすれば非効率な手法にも見えるが、これは皮相な見方なようだ。「事前に当社の実績や提供スキームを記載した資料を送付するので、ほぼ100%面会できている」(北氏)。なまじ紹介者を介在させるよりも効率的なのである。

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社楽パートナーズの陣容は役員と社員併せて13名にすぎず、社外スタッフは起用していない。「デューデリジェンスのような体力を要する精査業務は引き受けず、戦略策定・スキーム検討・その実行に関わる重要な部分に特化しているので少数精鋭主義がふさわしい」(北氏)という。
13名のプロフィールを見ると、メガバンクや外資系銀行、M&Aブティックなどで豊富なキャリアを積んだ人材を揃えている。北氏は「メンバーの皆が専門性、相手を説得するコミュニケーション力、成果が出るまで実行する力を備えている」と評価した。

インタビュアー

経済ジャーナリスト

小野 貴史

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