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日本触媒、大学発ベンチャー「レナセラピューティクス」に出資
触媒から出発し現在はアクリル酸世界3位の日本触媒【4114】は、創薬基盤技術提供の大学発バイオベンチャーのレナセラピューティクスが実施する第三者割当増資を引き受けたと発表した。
日本触媒は2014年度にスタートさせた長期経営計画「新生日本触媒2020」及び、2017年度からの後半中期経営計画「新生日本触媒2020NEXT」に基づき、健康・医療事業を始めとする新規事業の早期立ち上げ・新製品のやかな上市を目指した取り組みを行っている。その中で健康・医療事業に関しましては、次世代医薬品シーズの研究開発・臨床開発から製造 受託に至る、一貫したサービスを提供する創薬支援事業の確立を目指した活動を進めており、市場の拡大が見込まれる核酸医薬注1原薬、ペプチド医薬原薬、及びDDS分野への参入を進めている。 日本触媒は、こうした事業分野において、革新的なシーズを保有する企業等との提携の可能性を探し続けている。
レナセラピューティクスは、東京医科歯科大学横田隆徳教授と大阪大学小比賀聡教授らが開発したヘテロ2本鎖核酸技術(HDO注2技術)を創薬基盤技術とし、核酸医薬を早期に実用化することを目指している。核酸医薬は、これまで治療が困難であった様々な疾患に対する次世代の医薬品として期待されているが、投与後の血中安定性や副作用等の課題を有することが広く知られている。ヘテロ2本鎖核酸技術(HDO技術)は、DNAとRNAからなる2本鎖にDDS機能を発現するリガンド分子を結合させた構造(図1)を有しており、核酸医薬の課題を克服する革新的な技術と期待されている。
今回の資本提携を通じて、日本触媒はレナセラピューティクスのHDO技術の開発を促進するとともに、同技術の開発・製造の面で業務提携を実施するべく、今後両社で協議を進めていく。
注1) ヌクレオチドを構成成分とする医薬品で、癌や神経変性疾患、遺伝性疾患等の難治性疾患に対する革新的な医薬品として発展が期待されている
注2) Hetero Duplex Oligonucleotide の略
レナセラピューティクスは、今回、日本触媒をはじめ産業革新機構などから総額6億円の資金調達を実施した。