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売り手の多くは譲渡価格5億以下、完全成功報酬で小規模案件に特化 / インタビュー前編
株式会社ビザイン代表取締役早嶋聡史
福岡県の経済事情に精通し
売り手に張り付いてフォロー
M&Aアドバイザリー会社の経営陣には公認会計士や金融機関出身者、コンサルティング会社出身者などが多いが、ビザインはやや毛色が異なる。
社長の早嶋聡史氏は横河電機株で研究開発、海外マーケティングを経験後、中堅中小企業に戦略アドバイスを提供するビズ・ナビ&カンパニーを設立し、マーケティング担当取締役に就任。2007年に取締役パートナーとしてビザイン設立に参画し、2009年に代表取締役パートナーに就任した。シニアディレクターの松原良太氏は都市銀行、不動産デベロッパー、IT関連会社、住宅関連会社取締役を経て、2007年にビザインに加わった。
M&Aアドバイザリー業務のメインは中小零細企業のM&Aアドバイザリー業務で、譲渡価格は1億円以下で、5000万円前後の規模も多い。同社のある福岡県にはM&Aアドバイザリー専門会社が少なく、まして小規模案件を扱う会社はほとんどないが、後継者不在などで潜在需要は多い。このギャップに着目して、早嶋氏と松原氏は、小規模M&Aに特化したアドバイザリー業務をスタートさせたのである。
早嶋氏は一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会(東京都千代田区)理事にも就任し、
東北圏、関東圏、関西圏、中国圏、九州圏にパートナーを配置している。パターンとしては『買い手が東京で売り手は福岡』と『買い手と売り手ともに福岡』が多く、早嶋氏は「当社は売り手側の実態、経営者の考え方、福岡の経済事情に通じている。しかも売り手企業に張り付いて、マッチングから交渉、M&Aに関わる諸々の作法、最終譲渡契約までフォローできることが強みである」と話す。
資産価値が1500万円なら
3000万円で売却できる
年間の成約件数は7件前後。売買金額のボリュームゾーンは2000万円~3000万円で、直近の最大金額は4億円である。過去には50万円、あるいは無償譲渡の案件も扱った。小規模案件ゆえに報酬体系も成功報酬が基本で、着手時に文書作成費が発生する場合もあるが、完全成功報酬が多いという。手数料体系は、売買金額1億円以下は5%、6000万円以下は350万円、3000万円以下は250万円、1000万円以下は150万円と組み立てられている。
取扱業種は建設業、製造業、IT、美容室、クリニック、サービス関連など多岐におよぶ。自社の業種と規模ではM&Aには縁がないと考える経営者も多いだろうが、成約実績を見る限り、決してそうではない。早嶋氏はこう助言する。
「相場観としては資産価値が1500万円で経常利益が300万円なら、3000万円前後の価格が付く。経常300万円なら売り上げは6000万円程度だが、この規模でも従業員が数名程度いて仕組みとして稼働していれば、M&Aによって事業を継続できる。この現実を中小零細規模の経営者に認識してほしい。判断を自分で行わないで欲しい」。
後編はこちら
「現金があるから良い案件なら何でも」
戦略なき買い手の依頼は断わる | 株式会社ビザイン 早嶋聡史社長 インタビュー後編
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インタビュアー
KSG
眞藤 健一
経済ジャーナリスト
小野 貴史