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知財分野で国内トップファーム、総合力の強化を推進 | TMI総合法律事務所 淵邊善彦弁護士 インタビュー前編

合法律事務所-淵邊善彦弁護士

弁護士と弁理士のチームワークが強み

国内5大法律事務所の一角。TMI総合法律事務所は1990年、田中克郎代表ら10人の弁護士と弁理士が、西村眞田法律事務所(現西村あさひ法律事務所)から分離独立して誕生した。設立当初から知的財産権の分野を得意としてきたが、その後は企業法務や金融分野にも進出。「総合的なプロフェッショナルサービス」を提供している。

TMIの大きな特色の一つは、弁理士の多さだ。現在、弁護士320人超に対し、65人の弁理士が在籍する。国内でこれほどの弁理士を抱えている総合法律事務所はほかにない。TMIのパートナーである淵邊善彦弁護士は次のように語る。

「TMIでは案件ごとに各専門家によるチームを組みますが、特に我われが強みとしている知財に絡むM&Aでは10~20人くらいのチームで短期間に大量の仕事をこなさなければならず、弁護士と弁理士のチームワークが非常に重要になります。一般的に弁護士と弁理士は専門が違いますから共同作業は苦手といわれています。実際、ほかの大手法律事務所には数人の弁理士しか在籍していません。しかし、我われは発足当初から弁護士と弁理士が組んでスタートし、協力しながら事務所を大きくしてきました。コミュニケーションも円滑でチームワークがすごくいい。それは一つのカルチャーです。知財関連のM&Aにおいて、我われはワンストップでできるというのがほかの法律事務所にはない強みで、知財では国内トップファームだと自負しています」

インアウトの増加に対応、海外拠点を拡充

TMIが手がけるM&Aの最近の傾向としては、日本企業が海外企業を買収する「インアウト」、なかでもアジア新興国の企業を買収する案件が増えているという。規模的には5億~数十億の中型案件が中心で、国内上場企業だけでなく、中堅やベンチャー企業によるアジア企業買収も増加。製造業ではベトナムやインドネシア、タイへの進出が多く、金融ではシンガポール、IT系はベトナムやマレーシア、インドのソフトウエアの技術者を当て込んだ買収が目立つという。

そうした日本企業の動きに歩調を合わせるように、TMIは海外拠点を急速に整備してきた。中国(上海・北京)、シンガポール、ベトナム(ホーチミン・ハノイ)、ミャンマー(ヤンゴン)、カンボジア(プノンペン)などのアジア各国や、米国(シリコンバレー)にオフィスを開設。世界の大手法律事務所との業務提携を行うほか、これらの海外拠点を通じ、世界各国の現地法律事務所とのネットワークの強化を図ることで、グローバルビジネスの進展に対応している。

「海外展開ではTMIが国内法律事務所で先んじています。いまアジア以外に注目されているのが、アフリカ市場です。日本の法律事務所の一部も次はアフリカということで動いており、我われもケニアの提携先法律事務所に人員を派遣しています。ほかに南米ブラジルにも派遣しています。今後、そうした新興市場に日本企業も出て行くと思います」

インアウトが活発化する一方で、外国資本が日本企業を買収する「アウトイン」は伸び悩んでいると、淵邊弁護士は述べる。

「一番の理由は、欧米企業にとって日本のマーケットが投資に値するだけの魅力がないということだと思います。不動産やホテルなどインバウンドニーズに関連する投資は増えているものの、日本企業に対する投資は低調です。日本の経営者が外資に対してアレルギーを持っていることも一因でしょう。ただ、米シリコンバレーからは日本への投資は増えている。IT関係ですが、日本の若手経営者がシリコンバレーで起業して、日本に逆進出するというケースも増えています。いずれにしろ、日本企業がグローバル競争で勝ち残るためにはアウトインがもっと増えてこないといけないと私は思っています」

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