「経営シェルパ」の機能確立で金融再編や大型案件を手がける
数多くの大型案件を主導した実績を見れば、社楽パートナーズ社長の北義昭氏が、並み居る専門家のなかでも第一級の実力者であることは瞭然となる。
北氏は同社の機能を「経営シェルパ」と表現する。コンサルティング会社や投資銀行、M&Aアドバイザリー会社との違いは、戦略策定からM&A、事業提携、ファイナンスを経て成果確認、フォローアップまで一気通貫で関与することにある。
「どんなに実績のある登山家にもシェルパが付くように、経営者のシェルパとして活動している。山の中で命を落とすシェルパがいるが、当社も命がけで経営者をサポートしている」。
そう毅然と話す北氏が経営シェルパという機能を確立したのは、自身のキャリアから導き出した必然の結果とも言えるのはないだろうか。慶應義塾大学を卒業した北氏は三和銀行に就職し、30歳のときに企画部に配属された。経営計画・予算策定、公的資金導入、海外現地法人売却、UFJホールディングス設立など銀行再編も担当し、UFJ銀行法人企画部ではメリルリンチ証券との企業再生アドバイザリー会社を合弁で設立、さらに同行戦略企画部では日商岩井とニチメンの合併による双日の設立など企業再生分野も担当した。
自行のM&Aと融資先のM&Aをともに経験した北氏は40歳のとき、かねてからオファーのあったUBS証券に転身し、投資銀行本部の金融機関グループ責任者マネジング・ディレクターとして、大型M&A、資金調達、企業再生を担当した。
M&AではUFJ銀行による日本信販買収、住友信託銀行による松下リース&クレジットコーポレーション買収、資本調達では金融庁側ファイナンシャルアドバイザーとして地方銀行への公的資金注入、みずほホールディングスの永久劣後債グローバル・オファリングの主幹事など大型案件を担当。事業再生では双日、日本信販と飛島建設の事業再生アドバイスを手がけた。
独立して社楽パートナーズを設立したのは、4年後の2007年である。クライアントを伴わず白紙で一からスタートしたが、これまでの実績と人脈から「すぐに案件が相次いだ」(北氏)。主な事業内容は企業再生、M&A、ファイナンス、金融機関再編の4分野。主要な案件を紹介しよう。