法的破綻後の会社はM&Aの対象として『有望』な案件
1月28日に国内航空3位で経営不振が続いていたスカイマークが、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し受理された。
負債総額は710億円とされているが、エアバスから求められている最大7億㌦(約820億円)の損害賠償などの簿外債務を加算すると1000億円を超える模様だ。
このようなニュースを見聞きすると、法的に破綻した会社は信用が地に落ち、企業価値が無になってしまったような悪い印象を抱いてしまいがちである。
当然、そのような会社はM&Aの対象にはならないと考える人が多いのだが、「それは違います」ときっぱり言い切るのは、三洋証券、ユニコ・コーポレーション、太平洋クラブなど数多くの会社更生法の適用会社の管財人を務めてきた永沢総合法律事務所の永沢徹弁護士だ。
「民事再生や会社更生などの法的処理で、企業価値が毀損して無になってしまうというのは大きな誤解です。法的な破綻処理の手続によって再生の見通しがつくことが多く、むしろ法的破綻後の会社はM&Aの対象として『有望』な案件といえます。
実際に、私はこれまで数多くの会社の再生に携わってきました。そして、その全ての会社が見事に再生し、スポンサー企業も、勤めていた従業員の人たちも、全員がハッピーになっています」
そう語る永沢弁護士が、法的に破綻した企業のM&Aによって得られるメリットの筆頭にあげるのが、堅実割安な価格で有望な事業を手に入れられる可能性が高いこと。
「落ちてくるナイフはつかむな」という株式相場の格言があるが、スピードをつけながら落ちてくるナイフをつかもうとしても手を切ってしまうだけであろう。それと同じで「破綻しかけている会社」を買収すると、思わぬ痛手をこうむることが多いのだ。
その一方で「床に落ちたナイフ=法的に破綻した会社」であれば、身に危険がおよぶことがなく、じっくり会社の価値を判断できる。
それも、ほとんどの人が危険と感じて尻込みしているだけに、堅実割安な金額で買収することができるわけだ。そして、メリットは何もそれだけには止まらないのだと永沢弁護士は指摘する。