内製化を可能にする多彩な人材が特徴
前回、SXAはシグマクシスのM&Aの専門チームが子会社とした組織である、と紹介したが、もともとコンサルティング会社でM&Aの実行までを自ら手掛ける会社は他にはなかった。
より包括的なM&Aサービスをワンストップで提供する体制を構築するべく、投資助言・代理業の「T-Modelインベストメント社」を買収し、2014年10月からSXAとして新たなスタートを切った。
同社の特徴としてまず筆頭にあげられるのが多彩な人材だろう。投資銀行部門で国内外のM&Aに携わった経験を持つマネージングディレクターの岡山太郎氏をはじめ、元日本銀行のエコノミスト、投資ファンド出身者、公認会計士、税理士らM&Aの業務に関するプロフェッショナルたちが揃っている。10月1日からは財務・税務デューデリジェンスの内製化も可能になっている。
また、通常のM&Aファームはセルサイドにつくことが多いのだが、SXAでは基本的にバイサイドにつく。本体のシグマクシスの各産業のスペシャリストたちと連携することで、M&Aに対する具体的なニーズを明確に持つ企業を押さえることができるからだ。
さらに、M&Aの実行と戦略立案を絡めた付加価値の高いサービスを提供することで、新規分野への進出などを成功に導けば、シグマクシスグループ全体で支援できる領域も拡がる。
「わが社はシェア拡大だけを目指した規模重視の大型のM&Aではなく、たとえ案件規模は小さくても、競争力を高めて成長したいと考えるお客さまにとって価値の高いM&Aのお手伝いをしたいと考えています」と岡山氏は話す。
この点において同社が持つ強みは、世界45カ国の100億㌦以下の中規模M&A案件を取り扱う、M&Aファームのアライアンス統括組織である「M&A International」に、日本総代表として2011年から加盟していること。
同社のウェブサイトを開くと、概算売上高60億円のトルコの旅行代理店事業や、同120億円のブラジルの電力卸事業などの案件が並んでいるが、これらは全てそこから寄せられたものである。
「たとえば、エストニアにM&Aを使って進出をしたいという中堅企業がいても、規模が小さければ外資系の投資銀行も国内大手の証券会社も躊躇するでしょう。その点、我が社はエストニアのアライアンス先を通してベストなM&A対象企業を探すことができるのです」と岡山代表はいう。
こうした小回りの利いたM&Aファームの登場は、来るべきM&Aの新しい時代の前兆といえるだろう。