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東レと三井物産、香料メーカー中堅の曽田香料に共同でTOB実施 買付価格約40億円を予定

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三井グループ中核の総合商社である三井物産【8031】と合繊最大手の東レ【3402】は、共同して香料メーカー中堅の曽田香料【4965】の普通株式を公開買付けにより取得すると発表した。
買付け等の価格は、普通株式1株につき、1,140 円 。
買付代金は、約40億円を予定。

東レは、1926年に東洋レーヨンの商号で設立され、1949年に東京証券取引所に株式を上場し、1970年に社名を現在の東レに変更。東レ及び東レの関係会社283社(子会社241社・関連会社42社、2017年3月31日時点)は、コア技術(有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノ ロジー)を価値創造の源泉として、繊維事業、機能化成品事業、炭素繊維複合材料事業、環境・エンジニアリング事業及びライフサイエンス事業を世界26カ国・地域で展開している。

三井物産は、1947年に第一物産の商号で設立、1949年に東京証券取引所に株式を上場し、1959年に社名を現在の三井物産に変更。三井物産並びに三井物産の連結子会社268社及び持分法適用会社201社(2017年3月31日時点)は、総合商社として、金属、機械・インフラ、化学品、エネルギー、生活産業、次世代・機能推進の各分野において全世界に広がる営業拠点とネットワーク、情報力等を活かし各種事業を多角的に展開している。

一方、曽田香料は、1915年4月に創業者である曽田政治氏が香料商を開業したことを源流としており、1941年9月に設立された対象者の前身である旧曽田香料を経て、1972年9月にエム、エス香料が設立され、営業譲渡により旧曽田香料の香料関連事業を引き継ぎ、1972年10月には、社名をエム、エス香料から曽田香料に変更。 その後、当時、大手石油化学企業や欧米の大手香料メーカーとの競争が激化し香料業界全体が大きく変化する中、国内外の競争力の強化策として、1972年12月に高分子化学を主体とした「技術力」を有する東レ及び世界的な情報・販売網を始めとする「グローバル力」を有する三井物産との関係性を構築するため、東レ及び三井物産が曽田産業から対象者株式を譲り受ける方法により、東レ(当時の議決権保有比率 45.00%)及び三井物産(当時の議決権保有比率 5.00%)との資本提携を実施して以来、東レ及び三井物産との資本関係を継続している。

また、曽田香料は、1997年7月に日本証券業協会に株式を店頭登録した後、1999年3月には東レが市場内取引を通じて追加取得することにより東レの議決権保有比率が 50.01%となり、東レの子会社となるとともに、2004年6月には三井物産が市場内取引を通じて追加取得することにより三井物産の議決権保有比率が15.00%となり三井物産の持分法適用会社となった。その後、曽田香料は、2004年12月に店頭登録を取り消し、ジャスダック証券取引所が運営するジャスダック証券取引所(現東京証券取引所JASDAQ 市場)に株式を上場。 三井物産ろ東レは、これまで、東レにおいて、曽田香料グループにおける経営管理、各種コストの適正化、 役職員の派遣を通じた人材交流等を行うほか、三井物産において、合成香料を中心に販売支援や、海外事業開拓支援等を行ってきている。

曽田香料グループは、曽田香料及びその子会社7社より構成されており、創業以来、総合香料メーカーと して、あらゆる香料の研究開発に取り組み、調合香料及び合成香料・ケミカル製品の製造及び販売を営んできており、これらの事業分野において長年に渡り確固たる事業基盤を築いてきた結果、国内大手香料企業の一角に位置している。

しかしながら、国内における香料市場は、すでに成熟局面を迎えつつあり、少子高齢化による影響も伴い、近年需要は減少傾向にある。加えて、消費者の嗜好の多様化及び高度化を背景とした競合他社との競争の激化や品質保証に対する要求増加など、曽田香料グループを取り巻く経営環境は厳しさを増しており、その販売機能の強化が喫緊の課題となっている。 また、このような国内市場の縮小・競争激化の傾向を踏まえ、その子会社である中国の曽田香料(昆山)有限公司や台湾曽田香料股份有限公司を拠点に食品・日用品向け香料の現地での生産販売体制を強化するほか、2016年8月には、タイに合弁会社を設立、2017年1月にはシンガポールに合弁販社を設立するなど、需要拡大が期待できる海外市場における事業拡大を推進して
きた。一方で、合成香料製品の一部では、主に中国メーカーの台頭により、販売価格の下落が進行しており、海外市場における販売機能の強化や新規市場の開拓、また、高付加価値製品の上市が重要課題となっている。

このような経営環境の下、曽田香料グループの近時の経営成績は、国内事業は、調合香料での天候要因や需要減による製品販売減、ケミカル事業の受託品販売減等、厳しい状況が続いており、また、海外事業も中国経済減速の影響など厳しい事業環境下にあり、2017年3月期の経常利益424百万円及び親会社株主に帰属する当期純利益243百万円と、厳しい状況は継続している。 かかる状況を踏まえ、東レは2016年5月下旬から、親会社として、グループの成長戦略について協議・検討を行った。その結果、東レは、曽田香料グループの経営課題を克服するためには抜本的な経営基盤の再構築やより積極的な経営資源の投入が必要であり、そのためには、機動的な意思決定を行い得る経営体制を構築するとともに、香料市場との関連性の高い食糧・食品市場について強力なノウハウや海外展開力を有し、対象者の第2位株主としてグループの事業内容にも明るい三井物産の協力を得ることが不可欠であるとの判断に至り、今回の公開買い付け実施を決定した。