M&Aニュース検索

b-lot-miyauchi-thumbnail4

「企業再生」最前線──ビーロット 急成長企業が抱えていたある課題 | インタビュー前編

株式会社ビーロット 代表取締役社長 宮内 誠

株式会社ライフステージ 代表取締役社長 大塚 満

  • 2
  • 2016年6月29日

中古の賃貸マンションやオフィスビルなどを購入し、開発・再生を施して収益力を高め、富裕層に売却する不動産投資開発事業を柱に据えるビーロット。稼働率向上、管理コスト修正、違法箇所の是正、最適用途への変更などで潜在価値を引き出すことに長け、2015年1月には東京・築地で、そして同年11月には新宿で、需要が急拡大しているインバウンド向けのホテルへのコンバージョン・プロジェクトを成功させ、不動産業界のみならず、多方面からの注目を集めている。

そうした再生ノウハウを持つビーロットだからなのだろう、リーマンショック直後の08年10月の設立ながら市況悪化の荒波を乗り越え、14年12月に東証マザーズへとスピード上場を果たした。目下の業績も好調で、2015年12月期は売上高69億5,000万円(前期比87.4%増)、当期純利益4億円(同126.8%増)は5期連続の増収増益。そして中期経営計画では、17年12月期の売上高を123億5,400万円(15年実績比77.7%増)へ、当期純利益も7億1,400万円(同78.3%増)へ伸ばす業績予想を発表した。その一方で、宮内誠社長は1つ大きな経営課題を抱えていたのだという。

「東京の本社に加えて、11年に札幌、13年に福岡、そして昨年の15年にシンガポールに拠点を展開してきました。しかしながら、国内第2の都市である大阪に拠点を構えることが出来ずにおりました。私どもの事業は、お客様や不動産業者様から、一番はじめにお声掛け頂ける信頼関係づくりがとても重要です。そのため、きちんと拠点を構えてフットワーク良く、お客様や業者様、そして物件に足を運び関係を構築する必要があります。ところが、ゼロから信頼関係を創りあげていくことは、例え優秀な営業マンを送り込んだとしても、それなりの時間を要すとも考えています。決して東京の営業人員が充足している状況ではありませんので、それでは現地で既に信頼あるネットワークを持った方と組んだほうがスピードを重視する当社らしいと考え始めていました。」

b-lot-miyauchi-1-1

884万人の人口を抱え、交通や生活のインフラ設備も充実している大阪の不動産市場のポテンシャルは高く、ビーロットでも賃貸マンション取得や売買仲介を中心に少しずつ事業を手掛けてきた。そして「大阪を中心に関西での事業をさらに拡大したい」という思いを募らせるようになった宮内社長は、1人の経営者との出会いによって大きな転機を迎えることになる。

「関西エリアで25年間、新築分譲マンションの販売代理会社を経営されてきたライフステージの大塚満社長を共通の知人から紹介されたのです。初めてお会いしたのは、忘れもしない15年10月15日でした。食事をとりながら、お互いの経営に対する考えなどを話し合っているうちに、根本のところで共通していることが分かり、これからも違和感がなくお付き合いできるなと思いました」と語る宮内社長の話しを引き継いで、大塚社長が次のように語る。

「もともと私は営業至上主義の不動産会社に勤め、電話営業や飛び込み営業を経験したのですが、そのやり方に疑問を感じていました。そこで1990年12月に設立したライフステージでは、トラブルやクレームを起こさない、お客様第一の営業に徹し、また全社員に宅地建物取引士の資格を取らせることを目標に掲げたのです。物件に何か問題があれば、包み隠さず話すように指導もしてきました。その結果、大手のディベロッパーから信頼いただけるようになり、販売代理を数多く任せていただけるようになったのです」

b-lot-miyauchi-1-2

そうしたお客様や取引先との信頼関係重視が、宮内社長と大塚社長の経営哲学の共通項になっていたのだ。目先の利益を追うあまり、利益の大小に応じて顧客の仕事を次第に後回しにする会社もある。でも、宮内社長は「それは違う」と考え、まず信頼関係を第一に大切にしている。「当社では、複数回取引頂けているお客様がたくさんいらっしゃり、新規開拓はお客様からの口コミ・ご紹介がほとんどです。私たちは、お客様の資産についてご提案を申し上げるプロフェッショナルなわけですから、その後継者、そのご友人の方とも長期継続的にお付き合いをできることが前提で、追うのは目先の利益ではありません。利益の大小ではなく、まず優先的にお声掛け頂ける、そのことを誇りにしています。多様化する富裕層のニーズにとことん応えていくことを、決して疎かにしてはいけません」と宮内社長は言い切る。

営業・利益優先の傾向が強い不動産業界において、2人とも異色の考えの持ち主なのかもしれない。しかし、それだからこそお互いに惹き合うものを感じ、「これから一緒にやれることを考えましょう」と意気投合できたのだろう。やがてその思いは単なる事業の提携という話にとどまらず、16年4月28日のビーロットによるライフステージの全株式取得(子会社)という形に結実し、両社ともに手を携えながら新たな成長ステージに一歩足を踏み出すことになる。

インタビュアー:KSG シニアコーディネーター 関 幸四郎