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M&Aで中堅・中小企業の事業継承を仲介 中堅・中小企業の後継者難でニーズが急拡大 | インタビュー前編

株式会社日本M&Aセンター

代表取締役会長 分林 保弘

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  • 2015年11月19日

M&A(企業合併・買収)と言えば、競争の厳しいビジネスの世界において、「勝ち組企業が負け組企業を飲み込む」といったネガティブなイメージが、いまだに強いかもしれない。しかし、実際には、M&Aの9割以上は友好的M&Aだ。経営危機に陥った企業を救済する目的のM&Aもあるし、他社の事業を受け継ぐためのM&Aもある。後者のようなM&A、しかも、中堅・中小企業対象のM&Aを専門に手がける企業もある。それが日本M&Aセンターだ。社名を聞くと、投資ファンドかと思うが、跡継ぎがいない中堅・中小企業の事業継承ができるよう、受け皿となる企業を見つけてマッチングする仲介業務をメーンとしている。M&Aと言うよりは、中堅・中小企業の“結婚相手仲介サービス”と言ったほうが実態に近いだろう。

同社は1991年、全国の公認会計士・税理士を中心に約50社が出資して設立された。中堅・中小企業のM&A仲介業務を軸に、企業再生・企業再編・MBO(社員による企業買収)のサポート業務などを手がけている。分林保弘会長によれば、「中小企業のM&A仲介は当時、証券会社の一部などが行っていたくらいで、当社がパイオニアの一つと言ってもいいでしょう」。中堅・中小企業のM&A仲介という事業領域は競合相手が少ない。専業としては、160名超の専門コンサルタントを抱え、今やトップランナーだ。06年には東証マザーズ、07年には東証一部上場も果たした。中堅・中小企業のM&A仲介専業としては初の快挙である。15年3月期の売上高は122億2700万円で、5期連続の増収。12年3月期の売上高と比べると2倍以上に伸びている。M&Aの成約件数で見ると、338件(顧客数ベースで、売り案件と買い案件が169件ずつ)に上るという。

約12万社、3分の2は後継者が決まっていない

日本M&Aセンターが、中堅・中小企業の結婚相手・里親探しサービスで成長してきたのには理由がある。わが国では、中堅・中小企業の後継者難が年々深刻化しているからである。分林会長は、その現状をこう解説する。

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「中堅・中小企業の多くは同族企業です。後継者は、経営者の身内から選ぶのが普通でしょう。しかし、考えてみてください。90年代以降、日本の出生率は1・4前後にまで落ち込んでしまいました。子供のうち、男の子が半分、さらに、そのうち跡を継いでくれる男の子が半分とすると、自分の男の子に会社を継がせることのできる社長は、3~4割程度しかいないことになってしまいます。ただし、これは頭数だけ考えた単純計算。経営者としての資質も考えたらどうでしょうか。オーナー経営者の大半は高所得者なので、自分の子供には高等教育を受けさせているケースが多い。実際、医師や弁護士、大企業の幹部社員などになっている社長の息子が多いんです。しかし、大企業で活躍するための能力と、中小企業の経営に求められる能力は異なります。経営者としての能力がない人を、社長の息子だからという理由だけで後継者にしてしまったら、その会社の従業員や取引先も不幸になってしまいます。そうしたわけで、身内から後継者を選ぶというのは、とても難しくなっているんです」

現在、中堅・中小企業(従業員10名未満の零細企業は除く)で黒字なのは、約18万社と推定されているが、そのうち、約12万社、3分の2は後継者が決まっていないと見られている。中堅・中小企業は、そもそも社内の人材リソースが限られている。取引先の大企業や金融機関などから経営者を派遣してもらっている企業もあるが、それはごく一部。外部の企業に事業承継してもらうという選択肢が、浮上してくるのは当然だ。知り合いの同業他社や取引先が引き受けてくれればいいのだが、簡単にまとまる話ばかりではない。そこで、注目されるようになったのがM&A仲介事業なのだ。

後編に続く

インタビュアー:KSG シニアヴァイスプレジデント 中森 恭平