総合商社大手の伊藤忠商事【8001】は、機械学習をはじめとするAI技術を一般家庭用蓄電池に活用したプラットフォーム事業を展開する英国のMoixa Energy Holdings Ltd. 社(以下、モイクサ社)と資本業務提携したと発表した。
伊藤忠商事は今回の提携を通じて、モイクサ社が持つプラットフォーム技術ソフトウェア(商品名:GridShare)のうち、一般需要家向けサービスとなるGridshare Clientの国内独占販売権を取得した。GridShareは、AI技術を用いて一般需要家、発電事業者、送配電事業者といった各階層における顧客向けに、エネルギーの最適制御を行うソフトウェア。
モイクサ社は英国を中心に、1,000台を超える一般家庭用蓄電池の販売実績があり、AI技術をベースとしたソフトウェアを活用して複数の蓄電池を群制御し、余剰電力を電力事業者に販売する等、分散型エネルギーの最適制御オペレーションを実現している。Gridshareは蓄電池にとどまらず、家電、電気自動車など、あらゆる機器との接続・連携が可能であり、英国では大手電力会社等と共同で、将来的な分散型エネルギーの最適活用を見据えた実証プロジェクトも行っている。
伊藤忠商事は分散型エネルギーの基幹システムとなる蓄電池市場に早くから着目し、2013年より一般家庭用蓄電池ビジネスに参入した。独自ブランドの蓄電システム「Smart Star」をエヌエフ回路設計ブロックとともに開発・製品化し、2017年度末時点で国内市場を中心に累計約6,000台(55MWh相当)の販売を見込んでいる。今回、提携の第一弾として、伊藤忠商事はモイクサ社と共同でGridShareの国内仕様化を実施、2018年夏頃までに本サービスをSmart Star製品に標準搭載し、GridShareプラットフォームを活用した「蓄電池最適オペレーションサービス」を展開していく予定。
日本では、2019年より太陽光発電の固定価格買取制度期間が順次満了していくことから、今後蓄電池を併用した太陽光発電電力の自家消費が増加していく見込み。本サービスを用いて、気象予報や、ユーザーの電力需要・発電予測等を分析・学習し、蓄電池の最適充放電を行う事で、太陽光発電ならびに蓄電池の効率的な運用が可能となる。将来的にはバーチャルパワープラント事業(*1)や、今後増加する電気自動車の充電マネジメントなど、多様なビジネス展開も可能となる。
伊藤忠商事は、従来から電気自動車を中心に拡大が見込まれるリチウムイオン電池の原料・部材のサプライチェーンビジネスから自社ブランドの蓄電池の拡販におよび展開してきたが、今後はAIを取り入れ、日本はもちろん海外にもGridShareプラットフォーム事業を横展開し、再生可能エネルギーの効率運用、電力供給安定化ならびに分散型エネルギー社会実現に向けて貢献していく。
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(*1) バーチャルパワープラント :
点在する蓄電池や電気自動車等の分散エネルギー源を、電力系統の需給に合わせて、あたかも一つの発電所(仮想発電所)のように統合的に制御する次世代電力ビジネスモデル。
◆モイクサ社概要
会社名 Moixa Energy Holdings Ltd.
設立 2006年
本社 英国ロンドン
代表者 Simon Daniel
従業員数 33名(常勤取締役4名)