タクシーやバス向けに車両などの移動体管理システムを提供しているモバイルクリエイト【3669】と後工程向け半導体製造装置メーカーの石井工作研究所【6314】は、共同株式移転の方法により両社の完全親会社となるFIGを設立することに合意し、株式移転に関する株式移転計画を共同で作成したと発表した。
モバイルクリエイト及びその主要な子会社である石井工作研究所を中核企業とした企業集団であるモバイルクリエイトグループは、情報通信事業及び装置等関連事業を主たる事業とし、近年では、既存技術での市場開拓を進めるとともに、さらなる成長のための戦略として海外マーケットへの挑戦と事業領域の拡大を掲げ、企業価値の向上に注力してきている。
モバイルクリエイトは、平成14年12月の設立後、経営理念である「システム構築を通じ社会のユビキタス化に貢献する」のもと、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)として携帯通信のインフラを活用した移動体通信網及びGPSを活用した移動体管理システムを提供してきた。モバイルクリエイトは、主にトラック運送業等の物流事業者、タクシー事業者及びバス事業者等に対して、パケット通信網を利用した音声通話システム、動態・運行管理システム、タクシー配車システム及び電子決済システムを提供しており、オリジナルの移動体管理システムの設計・開発・製造・販売・サービス運用・保守サポートまでをワンストップで行い、事業者や利用者の目線で特徴ある差別化商品の創出に努め、革新的な通信サービスを確立してきた。
一方、石井工作研究所は、昭和54年1月の設立後、半導体製造後工程装置やその精密金型及び自動車関連部品組立ての自動化装置や検査装置の開発、設計、製造及び販売を行う半導体・自動車関連事業を主たる事業とし、あわせて不動産事業等も展開してきた。石井工作研究所は、各種製造装置に使用されている部品を自社で製作し、多岐にわたる精密加工技術を有しており、車載用製造装置を納品している大手自動車部品サプライヤーからも高い評価を得ている。
モバイルクリエイトは、お互いの強みを相互に活用することで社会の発展に貢献し、ひいては両社の企業価値向上に資するべく、平成27年1月に東京証券取引所ToSTNeT市場において石井工作研究所株式2,550,000株(発行済株式総数に対する割合:32.69%)を取得し、さらに、平成28年3月には、公開買付けにより、石井工作研究所株式631,609株を買付け、石井工作研究所株式3,181,609株(発行済株式総数に対する割合:40.78%)を保有する同社の親会社となっている。
上記の株式取得以降、両社は、顧客ニーズに適切に対応するため、モバイルクリエイトが培ってきたソフトウェアや通信・クラウドのIT技術と、石井工作研究所が培ってきたモノづくりの技術力を融合させることで新製品創出・新技術開発力の強化を目指してきた。また、石井工作研究所においては、モバイルクリエイトの協力のもとで事業構造改革を実施するとともに、受注段階での仕様固めや、設計・製造工程での原価管理の徹底を推進してきた。その結果、石井工作研究所は、平成27年 3月期まで7期連続で営業損失を計上していたところ、平成28年3月期には営業利益の黒字化を達成し、平成28年12月期においても営業黒字の拡大を達成して、着実に自社の企業価値の向上及びモバイルクリエイトグループへの収益貢献を実現している。
近年、モノとインターネットの融合により新たな付加価値を創造するIoT分野の市場拡大が見込まれており、パソコンやスマートフォンだけでなく、身の周りのあらゆるモノが、センサーと無線通信を介してインターネットにつながり、それらが相互に情報をやり取りすることで、データ収集、情報の蓄積・データ解析、処理・制御という新たなビジネスサイクルにより、あらゆる分野で競争領域が変化すると言われている。こうしたインターネットにつながるモノの数は飛躍的に増加していくと予想されており、これまでインターネットに接続されていなかった自動車、家電、電力メーター、産業機器やインフラ等がつながることで、新たな製品・サービスの創出が期待されており、IoTのコンセプトが持つ価値は、モバイルクリエイトグループの事業領域の拡大に欠かせないものであり、同市場は急速に拡大している。 モバイルクリエイト及び石井工作研究所は、このような大きな環境変化を伴いつつさらに拡大することが見込まれているIoT分野の市場において、事業環境の変化に対応し、持続的な発展を実現するため、両社の経営資源の有効活用や、重複した業務の効率的な集約等が可能となる経営体制の構築を検討してきており、その結果、両社は、モバイルクリエイトと石井工作研究所を現在の親子関係でなく、対等な関係で並列化して兄弟会社とすることで、親子上場に係る潜在的な利益相反の可能性を排除し、機動的な意思決定による柔軟な経営体制とさらなる両社の協力関係構築、親子上場に係る管理コストの削減等が可能となるとの共通認識に至り、共同持株会社設立による経営統合を行うことを決定した。