大手商社の伊藤忠商事【8001】、三井物産【8031】、丸紅【8002】の3社は、AIベンチャーのGRIDの第三者割当増資により株式を取得し、資本業務提携を実施すると発表した。
IoT(Internet of Things※)の広がりにより、様々な産業分野でオペレーションデータの収集・蓄積が進んでおり、収集したデータの分析ニーズが高まっている。
大手商社3社は、こうしたニーズをタイムリーに捉え、AIコアテクノロジーを保有するGRID社と資本提携を行うことで、産業向けIoTソリューション事業の取り組みを一段と強化していく。
GRID社は社会インフラ分野をはじめ、様々な分野で課題解決の実績を積み上げている日本でも有数のAIベンチャー企業。自社開発した機械学習・深層学習フレームワーク”ReNom”を用いて、幅広い産業における機器設備の稼働状態を監視し、保全コストを計画的に最適化する状態基準保全(Condition Based Maintenance)、運転最適化、故障予兆検知などのソリューションに必要なコアテクノロジーを提供している。
伊藤忠商事は、GRIDが提供する機械学習フレームワーク「ReNom」を活用し、同社と国内・海外の製造・金融・ヘルスケア・情報通信分野等でのサービス開発を行うだけではなく、伊藤忠商事グループ社内での人事・財務等オペレーション効率化・高度化を目的としたAI導入も検討していく。
国内外でのベンチャー投資を積極的に推進している伊藤忠商事はAI分野を注力分野のひとつと位置付けており、テクノロジーを活用した新たなAIサービスの展開を今後も拡大していく。
三井物産は、2016年4月に産業向けIoTデータ管理ソフトウェアの開発・販売においてグローバルリーディング企業である米国のOSIsoft, LLC.(以下「OSIsoft社」)に出資参画し、様々なパートナー企業とOSIsoft社が開発したソフトウェア”PI System”のデータを活用したIoTソリューションの構築に取り組んでいる。三井物産はOSIsoft社のIoTデータ管理ソフトウェア“PI System”とGRID社の“ReNom”を組み合わせることによって、三井物産グループが保有する幅広い産業の事業資産やパートナー・重要顧客の課題を解決するIoTソリューションを構築・提案し、オペレーションの効率化や新たな事業モデルの構築を積極的に推進していく。
丸紅は、2017年4月1日に「IoT・ビッグデータ戦略室」を新設したほか、様々な取り組みを通じてIoT、ビッグデータの活用を一層推進していく。この一環として、まずは丸紅グループが多角的に展開する事業において、ReNomを利用して経営課題の解決を図る。直近では、物流分野やヘルスケア分野等における取り組みを進めていく予定。
※) IoTは、コンピューターなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々なモノに通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信したりすることにより、自動認識や遠隔操作、制御などを行うこと。