プラスチック、ニューセラミックスおよびその複合材による精密射出成形品の製造・販売を手掛ける第一化成【4235】は、持分法適用関連会社である米国の高機能ポリウレタ ン合成皮革マーケティング会社、Ultrafabrics, LLC(以下「Uf社」)の持分84.21%を、Uf社の創業者であるClay Rosenberg氏(現CEO)及びDanielle Boecker-Primack氏(現President)ならびに同人らがそれぞれ設立したトラスト(信託)から、約140億円で譲り受け、完全子会社化すると発表した。なお、第一化成は、従来から第一化成100%子会社であるディー・エス・シー(以下「DSC社」)を通してUf社の持分15.79%を保有している。
今回完全子会社となるUf社は、1998年に米国Springs社の合成皮革販売部門から独立する形で設立された。第一化成は、Uf社設立時からDSC社を通して出資し、Uf社が販売する製品を開発、製造し供給するという関係を継続してきている。
第一化成は、現在まで、Uf社との間で、北米及び欧州市場における第一化成製品の一部を独占的に供給する契約を結んでおり、これらの市場においてUf社は、第一化成製品の実質的な独占販売権を持ち、Ultraleather®のブランドでマーケティングを展開しており、2016年3月期のUf社への販売は、第一化成の売上の78.8%にのぼる。
他方、現在は、製造開発を担当する第一化成と、販売・マーケティングを担当するUf社が、それぞれ独立した会社であるため、業務や在庫管理等に重複や非効率な面が存在する。また、日本で生産する製品を主として海外で販売するという事業形態であることから、為替変動リスクが不可避であるところ、現状は、契約に基づいて両社が個別にこのリスクを管理しているが、これを一元化することで、より効果的な為替変動リスクの管理を行うようにすることが望ましいといえる。
このように、様々なリスクに対応しながら、事業を最も効率良く成長させるには、第一化成とUf社がよ り緊密に連携していく必要がある。こうした状況において、第一化成とUf社とで協議を行った結果、 迅速かつ機動的な意思決定を可能とするため、第一化成グループがUf社を完全子会社とし、一体として本事業を遂行するのが最善との結論に至り、今回の決定を行ったもの。