木材・木製品の製造販売を行う材惣木材は、保存処理木材の製造と販売などを手掛ける大日本木材防腐【7907】の普通株式を、公開買付けにより取得すると発表した。この公開買付けは、大日本木材防腐の株式を非公開化するMBOの一環として行われる。なお、大日本木材防腐は、この公開買付けに賛同の意見を表明しており、買付価格の総額は約1576百万円の予定。
大日本木材防腐は、大正10年の設立で、戦前から戦後の混乱期、復興期の最中、鉄道輸送や通信設備などの産業基盤整備に必要不可欠な防腐枕木や防腐電柱を日本国有鉄道、日本電信電話公社及び各電力会社向けに供給、業績を伸ばしてきた。その後時代の変遷とともに、防腐技術を生かした住宅用木製防腐土台の開発、現地で日本向けの規格に製材、加工した木材を北アメリカ地域より直接輸入・販売する事業、木造住宅プレカット事業や2×4パネル製造事業にも進出する等、「木材防腐」の市場を広げながら、総合木材建築資材会社へと発展。また、M&Aを積極的に行い、住宅建材事業、さらには運送事業にも進出し、現在では、自社工場における製造加工はもちろんのこと、自社倉庫を保有し、運送業務を担う子会社を利用した効率的な流通及び運搬の体制を構築し、白蟻などの防虫処理に使用する化学薬品の研究開発を手掛けるなど、流通、施工、研究開発などの多様な部門を自社及びグループ子会社に有している。
一方、材惣木材は、元禄3年の創業以来300年以上にわたり、名古屋地区において木材業を継続。江戸時代は寺社や城等の材料として、また、明治時代からは電柱や枕木のインフラ素材として、そして、近年は住宅用の構造材、内装材及び家具用材を中心として、木を活かした事業を営んできた。
現在、高齢化社会を迎えるにあたり、人口及び世帯数が減少してゆく中、両社を取り巻く住宅業界は、新設住宅着工戸数が平成8年度の163万戸から平成27年には90万戸へと減少、厳しい市場環境が続いている。新設住宅着工戸数は今後も減少傾向が続き、平成42年には54万戸まで減少すると予測されている。大日本木材防腐の主力の木材事業では、主に戸建て木造住宅で使われる構造材・羽柄材を取り扱っており、その売上高は全体の約70%を占めることから、同社の事業業績は、持ち家や戸建分譲住宅などの新築着工戸数の動向に大きく左右され、今後の新築着工戸数の減少予測への対応が大きな課題となっていた。
材惣木材は、このような厳しい環境の中、両社並びにそれらの子会社、関連会社の成長及び事業の発展を目指していくためには、両社が一体となってより機動的な経営判断を可能とし、人材、設備、資金等の経営資源の共有化を図り、同一グループとしての総合力を更に発揮できる体制を構築することが必要であり、両社の経営陣のリーダーシップのもと、これらを実施する必要があると判断、今回の取引を行うもの。