総合モーターメーカーの日本電産【6594】は、子会社であるNidec FIR Elettromeccanica S.r.l.(以下「FIR」)において、建設現場向け吊り上げ機の開発・製造・販売事業を行っているが、平成28年5月20日にイタリアの非公開会社E.C.E. S.r.l.(以下「E.C.E.」)の持分100%をE.C.Eの持分保有者から取得し、E.C.E.がグループ会社となったと発表した。
日本電産は、家電・商業・産業用モータ事業を戦略的に重要な事業の一つと位置づけ、強化に努めてきた。そのうち商業用モータ事業は、平成24年11月の米国Nidec Kinetek Corporation(以下「日本電産キネテック」)買収以降、日本電産の業績進展の一翼を担う重要事業として特に注力しており、欧州においては、日本電産キネテックの子会社であったFIRを通じて厨房機器(食洗機、オーブン等)、建設用機器(吊り上げ機、昇降機、リフト等)、ポンプ向け商業用モータ他を提供している。
現在、建設現場向け吊り上げ機の製造・販売は、FIRのグループ会社であるTEA International S.r.l.(以下「TEA」)が担っており、主な市場は欧州となっている。一方、E.C.E. はTEAと並ぶブランド力を有し、特に中東地域・北アフリカ地域でベストブランドとなっている。TEAは中東地域及び北アフリカ地域の顧客を持っていないため、今回の買収により地域的補完が可能となる。また、E.C.E.は代理店による営業が中心であるため、FIRの販売ネットワークおよび営業力を活用することで、中東地域・北アフリカ地域以外での販売拡大も期待でき、さらに、FIRのサプライチェーンを活用することで購買シナジーを実現し、更なる収益力向上ができるとしている。