セメント事業などを行う太平洋セメント【5233】は、同じくセメント事業を手掛けるデイ・シイ【5234】と、平成28年8月1日を効力発生日として、太平洋セメントを株式交換完全親会社、デイ・シイを株式交換完全子会社とする株式交換を行うと発表した。この株式交換の効力発生日に先立ち、デイ・シイは上場廃止となる予定。
デイ・シイは、大正6年に浅野セメント(現:太平洋セメント)の川崎工場として操業を開始し、昭和16年に日本高炉セメントとして独立した後、東証一部への上場・商号の変更を経ながら、セメント事業、資源事業、環境事業、不動産事業等を展開している。
太平洋セメントとデイ・シイは、ともに太平洋セメントグループとして事業戦略を共有し、セメント事業については販売受委託を通じた事業展開を行っている。
太平洋セメントグループを取り巻く事業環境は、公共投資の縮小、人手不足や建設資材価格の高騰等による工法の変化や工事着工の遅れなどの要因が複合的に影響し、セメント国内需要が大きく減少しており、先行きに対する不透明感は今後も継続するものと思われる。一方で、激甚化する自然災害に備えるための防災・減災対策やインフラ老朽化対策が急務となっている中、2020年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックをはじめとした大型インフラプロジェクトが今後本格的に動き出していく状況にある。
このような状況のもと、太平洋セメントとしては、首都圏に臨海工場を持つデイ・シイの強みを最大限かつ機動的に活かすとともに、資源事業や環境事業等を含めた受注機会の拡大を図ることが必要であり、また、デイ・シイとしては、今後持続的に成長していくためには、太平洋セメントグループが持つ技術力、研究・開発力、営業力、ノウハウや、全国展開する太平洋セメントの強みを最大限に活用できる盤石な協業体制を構築することでコスト競争力の強化を図ることが必要であるとの考えに至り、両社が培ってきた経営資源を融合し、太平洋セメントグループとしての一体経営による経営資源の最適化を行い、グループ全体としての企業価値の最大化を追求することが、両社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資すると判断し、株式交換を通じた経営統合に至ったもの。