鉄鋼メーカーである東洋鋼鈑【5453】は、国内外の自動車メーカーに自動車車体用のプレス金型を製造・販売を手掛ける富士テクニカ宮津【6476】の普通株式を公開買付け(TOB)により取得すると発表した。
東洋鋼鈑は、昭和9年に日本で民間初のぶりきメーカーとして創業し、表面処理鋼板のパイオニアとして、アルミや樹脂等鉄以外の分野への進出も果たし、東洋鋼鈑グループにおいては、鋼板関連事業、機能材料関連事業等を主な事業としている。一方、富士テクニカ宮津は、自動車車体用プレス金型業界に属し、昭和32年の設立以来、一貫して日本のモータリゼーションとともに歩み、国内外の自動車メーカーに自動車車体用のプレス金型を製造・販売している。
東洋鋼鈑グループは、企業価値の向上に取り組む中で、既存事業の施策の一部として、自動車産業向けでハイブリッドカー用電池部品・燃料パイプ・マフラー・ドアインサート材等の製品の拡販や用途拡大を図っている。また、硬質合金、樹脂用金型及び表面改質を含む硬質材料事業においては、プレス金型の表面改質事業の強化を図る等自動車関連ビジネスに積極的に取り組んでいる。
東洋鋼鈑としては、今回の取引を通じて富士テクニカ宮津をグループに迎えることで、今後も成長と技術革新が続くこと が見込まれる自動車産業分野への事業拡大を図ることが可能となり、また、富士テクニカ宮津が一部を外注先に委託している自動車用プレス金型の部品加工を東洋鋼鈑グループにおいて内製化することで、業績の向上を図ることが可能となるなどとの考えから、今回の取引に至った。
今回のTOBでは、富士テクニカ宮津を東洋鋼鈑の完全子会社とすることを目的としており、富士テクニカ宮津は今回のTOBに賛同の意を示している。
今後、東洋鋼鈑は自動車産業分野への事業拡大を図ると見られており、富士テクニカ宮津は上場廃止となる予定。