(株)日本経済新聞は23日、英国の有力経済誌フィナンシャル・タイムズを発行するフィナンシャル・タイムズ・グループを100%買収することで、同社の親会社である英ピアソンと合意したと発表した。買収価格は約1600億円(8億4400万ポンド)。
日本経済新聞は、新聞を中核とする事業持ち株会社。雑誌、書籍、電子メディア、データベースサービス、速報、電波、映像、経済・文化事業などを展開している。
英フィナンシャル・タイムズは1888年に創刊。世界有数の経済メディアとして影響力を誇り、ビジネス界におけるブランド力に定評がある。紙面と電子版を合わせた発行部数は73万7000部で、うち7割の約50万人が「電子版の購読者」という。朝刊の発行部数が273万部の日経新聞も、2010年以降は他社に先駆けて「電子版」の普及に注力。その有料会員数は43万人に達している。日経新聞がフィナンシャル・タイムズの買収に踏み切った背景には、デジタル版の「成功」があるといえるだろう。今後はそれぞれの顧客基盤を活かしてさまざまなデジタル事業に取り組んでいくという。
教育、出版事業に力を入れる英ピアソンは、フィナンシャル・タイムズの事業を切り離すことで、教育事業に経営資源を集約する狙いがある。しかし、ピアソンのジョン・ファロンCEOは、「メディアの変革期において、フィナンシャル・タイムズの価値を最も高める道は世界的なデジタル企業と統合することであり、日経の下でさらに繁栄すると信じている」と声明を発表した。今後の動向に注目したい。