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横河電機、薬剤注入に高度な技術をもつノルウェー企業を買収

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工業計器首位の横河電機【6841】は、石油採掘現場や輸送パイプラインの配管内のつまりや腐食を防止するためのケミカルインジェクション(薬剤注入)について高度な技術を有する、ノルウェーのTechInvent2 AS(以下、テックインベント2)を買収したと発表した。

同社は、質量流量計の機能と、バルブおよびその調節機能を備えた、特許技術を搭載したケミカルインジェクションメータリングバルブ(CIMV)「FluidCom™(フルイドコム)」を開発、提供しており、すでに大手石油会社で運用されている。横河電機は同社を傘下に収めることにより、石油・ガス産業のアップストリームからミッドストリームにおける操業効率の改善、運用コストの低減、およびHSE(健康・安全・環境)の改善に貢献する。

横河電機は、中期経営計画「Transformation 2017」において、石油・ガス産業を注力業種と位置づけ、強固な事業基盤を築いているダウンストリーム(精製工程)に加え、アップストリームやミッドストリームにおけるソリューション強化に努めている。2016年4月には、石油・ガス分野の高度なシミュレーション技術をもち、それに基づくコンサルティングを提供しているKBCアドバンストテクノロジーズ(以下、KBC)を買収し、顧客の事業全体を見据えた提案や価値共創の取り組みを進めている。

石油採掘現場や輸送パイプラインにおいては、石油の流路の確保(フローアシュアランス)が操業効率を大きく左右するが、石油に含まれるさまざまな物質が、配管の内壁に付着して管路を狭めたり、配管の腐食を引き起こしたりすることがあり、こうした付着や腐食を防ぐために、薬剤を管内に注入する対策がとられており、これをいかに効率化するかがアップストリームやミッドストリームでの大きな課題となっている。

◆「FluidCom」の提供するソリューション
薬剤注入は、バルブ等の機械の操作を自動化している例もあるものの、アップストリームでは一般的には手作業で行われており、手作業では、頻繁な開閉や調整が求められ、工数がかかることによる操業コストの増加や厳しい環境下での作業が問題になっている。また、安定して正確な量を注入することが難しく、操業コストの増加やプロセスへの影響につながっていることも指摘されている。
テックインベント2が開発した「FluidCom」は、流量計測機能と流量調節機能を備え、1台で薬剤注入の自動化を実現。小流量の薬剤を安定して注入することが可能、機械機構が少なく故障のリスクが低い、セルフクリーニング機能がありメンテナンスが不要などの特長を備えている。自動制御による適切な量の薬剤注入が可能なため、厳しい環境での作業回数を減らすことができ、作業者の健康・安全の確保を支援する。
腐食の防止はダウンストリームでも課題となっており、FluidComはダウンストリームでも有効なソリューションとなる。今後、ISA100 Wireless※のフィールド無線にも対応していく計画。

今回の買収にあたり、横河電機IAプロダクト&サービス事業本部長の上原茂義は次のように述べている。「FluidComは、石油・ガス分野のお客様の大きな課題であるフローアシュアランスを向上し、お客様の操業効率の改善、運用コストの削減だけでなくHSEの改善に大きく貢献するものです。FluidComを、KBCのシミュレーション技術、YOKOGAWAのフィールド機器と組み合わせて、アップストリーム、ミッドストリーム分野におけるソリューションの拡充を図り、お客様に新たな価値を提供してまいります」。

◆TechInvent2 ASの概要
ノルウェー スタヴァンゲルのベンチャー企業であるTechInvent ASの100%出資子会社として2017年4月に設立され、同社の事業を継承してFluidComの開発、販売を行っている。TechInventは、CEOであるAlf Egil Stensen、ベンチャーキャピタルであるStatoil Technology Invent AS、Aarbakke Innovation AS、Ipark ASが共同で出資し2008年に設立された。FluidComは2016年から大手石油会社に提供されている。
所在地:ノルウェー スタヴァンゲル
CEO:Alf Egil Stensen

※ ISA100 Wireless:ISAが推進するインダストリアル・オートメーション用無線通信規格ISA100.11aに基づく通信技術とそれを実現するアプリケーション