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射幸心の刺激から原点回帰へ “安心して遊べる店舗”への転換 / インタビュー後編

株式会社ティーベル 代表取締役 笠原康夫

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ファンド活用やM&Aによってホール運営企業を再生させる

パチンコホール運営企業は、慰問や瓦礫処理などで東日本大震災や熊本地震の復興支援に継続的に取り組んでいるが、ほとんど報道されない。報道されるのは射幸心を煽るという負の側面である。笠原氏はこう主張する。

「誉めるべき点は誉めて、叱るべき点は叱るというメリハリをもってパチンコ業界を見る必要があります。多くの日本人がパチンコでストレスを発散したことも事実です。その原点に返って、射幸心を煽る機器から遊べる機器へと戻すことが求められるのではないでしょうか」。

この現実を踏まえてパチンコ業界の振興を図るには、単なる収益改善でなく、社会課題の解決にベクトルを向けた“街づくり企業”への転換が必須である。笠原氏はそう考えているのだ。医療機関と商工業者の連携による街づくりは“医商連携”と呼ばれるが、パチンコホールを拠点にすえた青写真は例がないだろう。

問題はホール運営企業の資金調達力である。パチンコホール数は全国に約1万店あるが、笠原氏によると「新しい機器を導入できる資金のある店舗は5000店舗以下で、他の5000店舗以上は機器業者を介して中古機を廻すしかありません」。ホール運営企業を再生させるうえで、思うように資金調達ができず、遊技機器の刷新すらできないケースが多いのである。
「私はいろいろな金融機関に相談して廻りましたが、ホール運営企業への融資には消極的です。そこでファンドに依頼するか、身売り先を探すか、別の手段を選択することに切り替えました」。

顧客本位の経営を実践すること
「人」からみた企業再生

笠原氏が支援対象にしているホール運営企業は、店舗数10~30店規模がメイン。支援の基準は①経営者がビジョンをもっていること②経営者がパチンコ業界の課題を認識していること③顧客本位に立った店舗運営を実践していること。おもにこの3点である。

「お客様本位のお店は開店時間になると従業員が店頭に立って、お客様を迎えていますし、経営者が各店舗に足を運んで状況をチェックしています。本社に設置されている各店舗の監視カメラだけでは店内の状況(雰囲気)は把握できません。企業再生には、資金、人材の確保、それを支える、就労環境の改善、健康管理、給与水準の改善等多くの難課題が存在します。人材の面を見ますと、住宅費や子供の教育費を背負っている社員が長期的に安心して働ける環境が必要です。オフィスに関しては若い人が働きたくなるように改善しなければなりません。入社したら研修制度や福利厚生がきちんと整備され、期待と安心を呼び起こせることで、仕事に対して、行動を起こす力が生まれます。私が在籍したオムロンでは社員研修で『自分の10年先を見なさい』と教えられました。10年後のビジョンを描ければ、いまから10年後に向かって自分が何をなすべきかが見えてきます。そうした研修はパチンコ業界にも必要でしょう」と笠原氏は提言する。

笠原氏の取り組みは、収益改善や経営統合による体質強化にとどまらない。経営の健全化や地域再生をも視野に入れているが、まずはモデルケースの創出を見守りたい。

インタビュアー:経済ジャーナリスト 小野 貴史, KSG ヴァイスプレジデント 中塚 進悟

ライター:小野 貴史

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