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島津製作所、仏の試薬メーカーを買収 試薬ビジネスに本格参入

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分析・計測機器大手で医用機器、航空機器にも強い島津製作所【7701】は、アフターマーケット事業の本格的な取り組みとして、ドイツの現地法人Shimadzu Europa GmbH(以下、SEG社)を通じてフランスに拠点をもつ試薬製造会社Alsachim SAS(以下、ALC社)を買収したと発表した。

ALC社は、世界でも限られた企業しか製造できない、安定同位体試薬※1 を合成・製造する高度な技術を有している試薬メーカー。

今回の買収により島津製作所は試薬事業のグローバルな展開につながる基盤を獲得する。機器と試薬のセット販売の相乗効果で競合優位性を高め、臨床分野を中心とした質量分析計事業を拡大していく。

【ALC社買収の背景、目論見】
島津製作所が注力している液体クロマトグラフ質量分析計(以下、LCMS)は、年間8%の市場拡大が見込まれており、中でも血中薬物モニタリングや分子診断研究、創薬開発などでの利用が注目されている。これら臨床分野の顧客からは簡便で使いやすい機器と目的に応じた試薬キットのパッケージ提供の要求があり島津製作所でも各地の試薬メーカーを介し対応してきた。

このたび島津製作所は、ALC社を買収し同社を欧州における試薬事業の拠点と位置づけ、今後島津製作所独自のLCMS試薬キットを開発、販売していく。これにより、顧客の分析目的に応じた機器と試薬の両方を提供することができ、島津製作所における機器拡販と消耗品ビジネスの展開を加速していく。

さらに、今後世界各地の主要地域においても試薬、消耗品事業の拠点を設置し、試薬・消耗品ビジネスをグローバルに展開するとともに、各地の共同研究開発拠点であるイノベーションセンターで開発される新規ソリューションに対応した新たな試薬キットの開発にも寄与していく。

※1 安定同位体試薬は、化学的性質は同じで質量数の異なる原子である、安定同位体(たとえば自然界に存在する炭素は質量数12の12Cが99%、質量数13の安定同位体13Cが1%存在する)で標識化された試薬のこと。質量分析計を用いた定量分析において内部標準物質として必須となる他、核磁気共鳴装置(NMR)などにも利用される。