• icon-facebook
  • icon-twitter
  • icon-feedly

5

半導体テストのテラプローブ、台湾の半導体企業によるTOBに賛同表明

  • 0
  • このエントリーをはてなブックマークに追加1
  • feedy

東証マザーズ上場の半導体のテスト工程等受託企業のテラプローブ【6627】は、台湾の半導体製造工程の後工程(組立・検査)受託企業である力成科技日本合同会社
によるテラプローブの普通株式に対する公開買付けに関して、賛同の意見を表明すると発表した。 なお、本公開買付けは、テラプローブ株式の上場廃止を企図するものではなく、本公開買付け成立後も引き続き東証マザーズ市場における上場は維持される方針。

買付け等の価格は、普通株式1株につき、1,100円。

力成科技日本合同会社の持分の全てを所有する力成科技股份有限公司 (英文名称:Powertech Technology Inc.) (以下、「PTI」) は、1997年5月に中華民国(以下、「台湾」)において設立され、2004年11月にはその株式を台湾証券取引所に上場している。PTIは、売上規模において世界で上位5社に位置する半導体製造工程の後工程(組立・検査)受託(以下「OSAT」)企業であり、MTI及びその関連会社(以下「MTI グループ」)、東芝、Intel Corporation、SanDisk Corporation、Kingston Technology Company, Inc. 等が主要顧客。また、PTIは、グループ全体で約12,000人の従業員を台湾、中国及びシンガポールの各製造拠点に有し、集積回路の組立・検査を受託している。2015年12月期においては、PTI の売上高全体の77.4%が海外向け売上となり、同40.1%が日本企業向け売上と なっている。 PTIは、急速に変化する半導体市場とOSAT市場の技術革新に対応するため、①積極的な製造能力の拡大、及び新規製造プロセスと製造技術の開発、②顧客企業にいち早く利便性の高いサービスを提供するための継続的な製造プロセスの効率化、③半導体製造工程における後工程でのアセンブリ・パッケージング及びファイナルテスト(完成品検査)を一括で提供するターンキーソリューションの継続的な提供に向けた事業体制の整備、並びに④海外市場への進出による市場シェアの拡大を、事業戦略としている。

一方、テラプローブは、半導体製造工程におけるウエハテストの受託を主たる事業として2005年8月にエルピーダメモリ(現 MMJ)の完全子会社として設立され、翌9月に、エルピーダメモリ、Kingston Technology Japan, LLC、PTI及びアドバンテストを引受先とした第三者割当増資を実施した。なお、本日現在において PTIが保有するテラプローブ株式1,077,100株のうち、1,040,000株は当該第三者割当により取得しており(取得価額の総額:2,600,000千円)、残る37,100株は、その後、市場内取引において取得している。

その後、テラプローブは、2007年3月には広島エルピーダメモリ(現 MMJ)から吸収分割によりウエハテスト事業(現メモリ事業)に関する設備・装置等を承継し、2008年にはPTIと合弁で台湾に連結子会社のTPWを設立した(TPWは、テラプローブが51%、PTIが49%の議決権を有する台湾所在の事業会社であり、主に半導体製造工程におけるウエハテストの受託業務を営んでいる。)。さらに、テラプローブは、2019年に東証マザーズへ上場。本日現在、テラプローブグループは、テラプローブ及び連結子会社2社により構成されており、半導体製造工程におけるウエハテスト及びファイナルテスト受託を主たる業務としている。また、テラプローブは、蓄積したノウハウを利用したプログラムの改良を提案し、顧客から支給されたテストプログラムを基に多数個同時測定用プログラムを開発し、また、プローブカードの設計を受託すること等によって、一回のテストでより多くの半導体チップを検査できるようにし、テスト効率を上げることで、顧客のウエハテストのコスト低減に貢献している。

他方、テラプローブにおいて、売上金額が最大の顧客であるMMJの完全親会社であるMTIは、2012年2月に会社更生法の適用を申請したエルピーダメモリのスポンサーとなり、2013年に同社を完全子会社化、2014年2月に同社の名称をMMJに変更している。上記完全子会社化取引に伴い、 MTIの完全子会社であるMMJが、完全子会社化前から保有するテラプローブ株式3,680,000株(所有割合:39.65%)及び主に半導体製造工程の後工程におけるアセンブリ・パッケージングを行うマイクロン秋田(以下「MAI」)の発行済株式の全てを所有する資本関係に至っている。

PTIは、MTIが同社の世界的な経営資源の再配置の一環としての後工程の最適化及び日本における経営資源の再編成を理由に、MAIを売却する方針を決定し、現在テラプローブに委託しているDRAMの検査工程の内製化を進める方針であるとのことであり、2016年8月下旬に、MTIよりMMJが所有するテラプローブ株式の全ての売却について打診を受け、また、MMJより同社が保有するMAIの発行済株式の全ての売却について入札手続への参加の打診を受けた。

PTIは、PTI及びテラプローブが属するOSATの事業分野においては、顧客企業が一貫したサービスの提供を求めていることに起因する世界的な事業者の統合が進展する一方、テラプローブの事業基盤である日本における半導体の市場規模の縮小が進んでいると認識していると同時に、PTIは、テラプローブが設立された翌月である2005年9月からのテラプローブへの出資者であり、2008年からは台湾においてテラプローブとの間で合弁会社のTPWを共同運営していることから、テラプローブの事業及び経営陣に関する深い理解を有し、また、テラプローブが日本のみならず世界的な半導体メーカと良好な関係を構築しているとの認識がある。

以上のような認識のもと、PTIは、PTIによるテラプローブの発行済株式全ての取得の可能性も含め、MTI及びテラプローブとの協議を通じて、MTIからの上記提案について、真摯に検討。具体的には、PTI から、テラプローブに対し、PTI及びその関連会社によるテラプローブ株式に対する公開買付けによる連結子会社化について申入れがあり、テラプローブに対し事業、財務、法務等に関するデュー・ディリジェンスを実施。

上記のデュー・ディリジェンスやテラプローブの経営陣との協議を踏まえ、PTIは、テラプローブ株式の東証マザーズへの上場を維持することを前提として、MMJが所有するテラプローブ株式を公開買付けにより取得して連結子会社とし、両社の協力関係を深めることで、収益機会の拡大と収益性の改善に寄与できると判断するに至った。

具体的には、テラプローブにおいては、PTIグループの経営資源を活用することにより、コスト削減や日本の顧客に対するターンキーソリューションの提供が可能となり、 顧客への提供サービスが拡充されること、同時に、成長著しい中国半導体企業との取引が拡大することを想定。また、PTIグループにおいては、日本におけるテラプローブの顧客基盤を活用することで、日本の車載半導体メーカやIoT関連製品メーカとの取引が拡大することを想定している。