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従業員や地元社会の強力なくしてあり得ないスキー場の再生 / インタビュー後編

日本スキー場開発株式会社取締役会長氏家 太郎

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取得後の従業員のリストラはゼロ

スキー場にせよ、どのような事業の再生にあたっても、人員の解雇を含めたリストラクチャリングが必要不可欠と思われる。しかし、氏家会長は「取得したスキー場の従業員の雇用は必ず守ります。雇用条件も一定期間は引継ぎます。その後従業員の不利にならないように当社の規定に見直し、スキー場間の不公平がないようにしていきます。」結局、魅力的なコースの新設、レストランのメニュー開発など、やりたくても予算がとれずにできなかった改善すべき課題を最も分かっているのは、彼ら現場の従業員なのです」と言い切る。

これまで苦境に立たされてきたスキー場の多くは売却が繰り返されて、オーナーが次々と変わってきた。その都度、「これで新しい取り組みができる」と期待したものの、事業縮小で予算も与えられず、裏切られ続けてきたのだ。それだけに、06年に日本スキー場開発が鹿島槍スキー場の取得へ乗り出した際も、従業員たちは半信半疑で事の成り行きを見守っていたはず。そうした状況を打ち破るためには、「急がば回れ」という格言が教えるように、トップ自ら膝詰で一人ひとりの従業員と話し合うことが、何よりも重要なのだという。

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「『千本ノック』と呼んでいるのですが、『どうやったらこのスキー場がよくなるか』『どんなサービスを提供したらお客さまに喜んでもらえるか』といったことを問い続け、現場に埋もれたアイデアを引き出しています。そして、いいアイデアであれば、即実践します。自分たちが考えていたことが実現できれば、自ずとモチベーションがアップするでしょう。たとえ、それが失敗したとしても、失敗の原因を追究して、次に活かせばいいのです」

そう語る氏家会長は従業員だけでなく、スキー場周辺の地元社会との関係も大切にする。スキー場は、宿泊施設、スキー用品のレンタル店、飲食店などが揃うことなくして、大勢のお客さまを迎えることができないからだ。それゆえ取得の際には、地元での説明会を何度も行う。納入業者の見直しについても、相見積を取るものの、バランス感覚を活かして地元業者との関係も維持するように努めている。そうした結果、前に親会社である日本駐車場開発の株主総会でのエピソードを紹介したように、日本スキー場開発を応援しようという地元の動きが生まれてくるのだ。

通年稼働で安定した収益構造へ脱皮

「また、スキー場の事業で重要なポイントになるのは、オールシーズンで稼働できるようにすることです。そうすれば、雪不足のリスクを避けながら通年で安定した収益をあげられるうえに、季節スタッフを正社員として雇用し、地元に貢献することもできます。群馬県の沼田にある川場スキー場の隣に約30万㎡の土地を借りて、エアガンを使って陣取り合戦をする『ベースキャンプ・カワバ』を併設したのも、その取り組みの一つです」

その川場の名産に、全国食味コンクールで8年連続金賞に輝いている「雪ほたか」というお米があって、村内の道の駅でそれを使ったおにぎり屋「かわばんち」を運営している。とても好評で、昨年1月には米国・ロサンジェルスで「KAWBA RICE BALL」をオープンさせてリピート客を増やしているそうだ。そうした一方で、日本スキー場開発の4か所のグループスキー場を含む「HAKUBA VALLEY」が、今年5月に国際的に著名なスキーリゾートだけで構成される「The Mountain Collective」から日本で唯一のパートナーとして承認され、参加することになった。今後、海外での認知度が一段とアップし、インバウンドの誘致に大きく貢献するものと期待されている。

今年4月22日に日本スキー場開発は東証マザーズに株式公開を果たしたのだが、その狙いについて氏家会長は「もちろん資金調達ということもありますが、上場会社として独立することで海外のトップリゾートと対等に伍していけるようなれることが大きかったのです。The Mountain Collectiveに加盟できたのも、今回の上場があったからこそだと考えています」という。

氏家会長は12年8月に、それまで就いていた社長の座を鈴木周平氏に譲っている。氏家会長は日本駐車場開発で会社の上場をすでに経験しており、後輩である鈴木氏に社長として上場を経験してもらい、経営者としての一段の飛躍を図ってもらいたかったからなのだという。また、日本スキー場開発には「株式会社鹿島槍」「川場リゾート株式会社」など11のグループ会社があって、その内2社では地元出身の社長が生まれているそうだ。氏家会長が考える、経営者にとって必要なスタンスとはどのようなものなのか。

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「とにかく最後まで諦めないことです。この事業をよくしたいという思いを持って、自ら率先して働きかけていけば、必ず従業員に通じます。また、周囲で見守ってくれる人も自然と生まれてきます。スキー場だけでなく、どの事業でも同じではないでしょうか」
笑みを浮かべながらそのように話す氏家会長の頭のなかには、どうやら、今シーズンも現場の従業員と一緒にパトロールや雪かき作業を行いながら、いろんなことを話せるのを楽しんでいる自分の姿が思い浮かんでいるようである。

引用元:ベンチャータイムス

インタビュアー

KSG

眞藤 健一

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